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健康スコアリングレポートとは、企業のコラボヘルスに関わる取り組みを効果的に推進するためのデータが掲載された資料です。
しかし、健康スコアリングレポートの活用方法や、保険組合とどのように連携して取り組みを進めればよいかが分からない人事労務担当者の方もいるのではないでしょうか。
本記事では、健康スコアリングレポートの見方や活用事例を解説します。
健康スコアリングレポートとは、従業員の健康状態や健康づくりへの取組状況を可視化したものです。企業と保険者が連携(コラボヘルス)して、従業員の健康づくりの取り組みを活性化させることを目的としています。
健康スコアリングレポートを集計するためのデータは、年度ごとにまとめた診療報酬明細書と特定健診の実施状況です。診療報酬明細書などのデータは、保険者が発行する保険証と紐づいているため、健康スコアリングレポートは保険者単位で集計されています。
2018年時点では、保険者単位で集計した健康スコアリングレポートのみが発行されました。しかし、2021年から事業主単位で集計したものも配布されるようになり、現在は以下の2種類の健康スコアリングレポートが配布されています。
【参考】日本健康会議「健康スコアリング活用ガイドライン」
【関連記事】データヘルスとは?簡単にわかりやすく解説!活用で得られるメリットも
保険者単位の健康スコアリングレポートは、各保険組合の集計結果が示されているレポートです。レポート本紙と参考資料で構成されています。
2018年度から以下の3つの組織が連携して健康スコアリングレポートを作成し、各保険組合に無料で提供しています。
事業主単位の健康スコアリングレポートは、特定健診の対象となる被保険者数が10名以上の事業所の集計結果が示されたレポートです。コラボヘルスの推進のために、各保険組合から各事業所へ配布されます。
ただし、保険組合が地域や業態の観点から複数の事業所をまとめて登録した場合、該当事業所の被保険者数が50名以上であれば、健康スコアリングレポートが作成されます。
【参考】
日本健康会議「事業主単位の健康スコアリングレポートの実施方針」
日本健康会議「2024年度健康スコアリングレポートの実施方針」
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保険者単位の健康スコアリングレポートには、「レポート本紙」と「参考資料」があります。それぞれのレポートの見方について解説します。
レポート本紙には、以下の項目がまとめられています。
指標 | 内容 | 掲載年数 |
特定健診・特定保健指導の実施状況 | 特定健診や特定保健指導の実施率 | 3年度分 |
健康状況 | 生活習慣病リスク保有者の割合 (肥満・血圧・肝機能・脂質・血糖) |
3年度分 |
生活習慣状況 | 適正な生活習慣を有する者の割合
(喫煙・運動・食事・飲酒・睡眠) |
3年度分 |
医療費状況 | 一人あたりの医療費と、性別・年齢補正後標準医療費の推移 | 5年度分 |
後発医薬品の使用割合 | 後発医薬品の使用割合(数量シェア)の推移 | 5年度分 |
健康状況と生活習慣状況は、全組合平均や自身が加入する健康組合の加入者の過去平均の観点から比較されているため、該当する保険組合の相対的な立ち位置を把握できます。
そのため、レポート本紙は、おおまかな傾向や健康の課題を把握する際に使用するとよいでしょう。
【参考】日本健康会議「健康スコアリング活用ガイドライン」
参考資料には、レポート本紙よりも詳細に割合を算出したデータが掲載されています。
レポート本紙での指標 | 参考資料での指標 |
特定健診・特定保健指導の実施状況 | 特定健診の実施率 |
特定保健指導の実施率 | |
特定保健指導の対象者割合 | |
健康状況 | 健康状況の詳細 |
生活習慣状況 | 喫煙習慣 |
運動習慣 | |
食事習慣 | |
飲酒習慣 | |
睡眠習慣 | |
医療費状況 | 医療費の詳細 |
後発医薬品の使用割合 | ー |
(全体) | 経年データ |
詳細なデータが掲載されていることで個人を特定される恐れがあるため、参考資料は保険組合のみに配布され、企業は内容を閲覧できません。
【参考】日本健康会議「健康スコアリング活用ガイドライン」
事業主単位の健康スコアリングレポートは、以下の項目が記載された「レポート本紙」が発行されます。
事業主単位の健康スコアリングレポートでは、従業員の健康情報を守る観点から、参考資料は配布されません。そのため、詳細な課題の洗い出しは保険組合と連携して進める必要があります。
【参考】日本健康会議「(事業主単位)健康スコアリングレポート(サンプル)(PDF)」
特定健診・特定保健指導の実施状況には、特定健診や特定保健指導の実施率が示されています。
特定健診や特定保健指導の実施率を参照することで、特定健診や特定保健指導をあと何人実施すれば改善できるかが把握できます。そのため、実施率を上げたいときの参考にするとよいでしょう。
(出典 :日本健康会議「(事業主単位)健康スコアリングレポート(サンプル)(PDF)」)
また、業態別の順位も記載されているため、レポートの評価が良好である場合は、順位の観点から改善点の判断ができます。
健康状況は、以下の観点から生活習慣病のリスクを保有している従業員の割合を示したものです。
自社・業態・所属保険者の全事業所の平均値がそれぞれレーダーチャートで示されており、どれだけの乖離があるか可視化されています。
(出典:日本健康会議「(事業主単位)健康スコアリングレポート(サンプル)(PDF)」)
直近3年の自社の平均値も掲載されているため、過去と比べて改善できたかや、施策の効果の確認が可能です。過去の割合と比較し、レーダーチャートの形状が大きくなっていれば改善されていることを意味します。
(出典:日本健康会議「(事業主単位)健康スコアリングレポート(サンプル)(PDF)」)
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生活習慣状況には、以下の観点から適切に生活習慣を送っている従業員の割合が示されています。
健康状態と同様に、直近3年分の全事業所の平均値がレーダーチャート式で示されています。生活習慣状況では、どのようにすればランクアップできるか、具体的な人数が記載されているため、次回の目標値として利用するとよいでしょう。
たとえば、以下の図では「運動」の生活習慣について適正だと判断される人数があと14人増えれば、評価が1段階上がることを示しています。
(出典 :日本健康会議「(事業主単位)健康スコアリングレポート(サンプル)(PDF)」)
健康スコアリングレポートは、企業と保険組合が連携して健康課題を共有し、取り組みを進めていくために活用可能なツールです。
日本健康会議のガイドラインでは、以下の手順で健康課題を共有し、コラボヘルスの取り組みへつなげることを推奨しています。
(出典:日本健康会議「健康スコアリング活用ガイドライン2023年度版」)
健康スコアリングレポートは、データヘルス・ポータルサイトからダウンロードして入手できます。
また、健康スコアリングレポート活用チェックリストを利用すると、企業がどのように保険組合と連携して取り組めばよいかを明確にしながら進められます。
【参考】日本健康会議「事業主単位の健康スコアリングレポート活用の手引き2023年度版(2022年度実績分)」
【関連記事】健康経営とは?企業が取り入れるメリットや取り組み方法・必要性を徹底解説
健康スコアリングレポートの活用事例を紹介します。自社で活かせる部分があるか、ぜひ参考にしてください。
【参考】日本健康会議「健康スコアリング活用ガイドライン」
金融業・保険業に属する某企業では、従業員の生活習慣に課題があったため、在宅勤務や残業の抑制などを推進しています。従来は衛生委員会のみで健康スコアリングレポートを共有していました。
しかし、現在は社報で配布し、全社員が閲覧できるようにしています。健康スコアリングレポートの指標の読み方に抵抗を感じる従業員でも分かりやすくなるよう、工夫を加えて共有したとのことです。顔マークを中心に補足説明を加えて配布するなど、取り組むべき内容が従業員に伝わりやすくなるようにしています。
また、健康スコアリングレポートの共有により、従業員が禁煙を始めたケースもあります。
学術研究や専門・技術サービス業を行っている某企業では、睡眠・生活習慣リスクに関して高い関心をもっていました。
そのため、健康スコアリングレポートをもとに保険組合が重点的に実施すべき課題を整理し、企業の課題意識とすり合わせて、取り組みを行いました。
たとえば、コロナ過の生活習慣で肥満リスクのある加入者の増加が判明し、健康スコアリングレポートを活用し、減量につながる保健事業を実施したとのことです。
また、メンタルヘルス不調が生活習慣や睡眠不足と関連している旨を保険者から企業へ説明し、メンタルヘルス対策のためにコラボヘルスを促進した例もあります。
健康スコアリングレポートの分析は、健康組合からフィードバックをもらい、企業が取り組みを精査していくことが重要です。
健康スコアリングレポートは、2018年から配布が開始されており、事例が蓄積されつつあります。企業が健康スコアリングレポートを活用する際には、従業員の健康状態などに関して詳細なデータを保有している保険組合と連携(コラボヘルス)していくことが重要です。
コラボヘルスの取り組みを進めることで、厚生労働省が推奨する「健康経営」の実現も期待できます。健康スコアリングレポートを活用し、コラボヘルスの取り組みを推進しましょう。
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