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復職診断書の入手方法と記載してもらう内容は?人事の対応手順も解説

従業員が主治医から診断書を入手する際の要点

診断書の記載内容(主治医への依頼事項)

診断書は、休職していた従業員が職場復帰を果たす上で、その可否を判断する極めて重要な書類です。治療が完了し、職場復帰が可能であると主治医に診断された場合は、復職時に必要となる診断書の作成を速やかに依頼する必要があります。

しかしながら、主治医に対し単に「診断書をください」と依頼するだけでは、多くの場合、「何を書けば良いですか?」と尋ねられ、かえって困惑してしまうケースも少なくありません。

これは、臨床医が医療の専門家であり、人事労務に関する専門知識を必ずしも持ち合わせているわけではないためです。

したがって、主治医に対しては復職の条件について、「どのような内容を記載してほしいか」という意味合いを明確に伝え、「職場復帰に必要な情報」を記載してほしい旨を具体的に伝えることが肝要です。

診断書に記載してもらう主な項目は以下の通りですが、従業員の症状や会社の人事側の要望によって必要となる内容は異なりますので、必ず事前に会社と確認するようにしてください。

・病名と現在の病状

診断書には、正確な病名と、現在の症状がどの程度改善しているかを明確に記載してもらいます。加えて、「職場復帰が可能であると認める」という明確な文言を明記してもらうことが重要です。

また、病状の具体的な状況についても言及してもらいましょう。仮に疾病が完治していなくとも復職が可能であると判断された場合、服薬状況や、その症状が業務にどのような影響を及ぼす可能性があるかについても具体的に触れてもらう必要があります。

・業務遂行能力の評価

次に、通常の業務がどの程度遂行可能であるかについて具体的に記載していただきます。フルタイムでの勤務が可能か(時短勤務やリモート勤務は不要か)といった点を明確に記載してもらいましょう。

さらに、段階的な復職(リハビリ出社)の必要性の有無、およびその期間についても記載してもらうことで、会社側が適切な復職プランを立てる上での参考となります。

・その他、会社への要望・配慮事項

就労上必要となる配慮事項についての記載も非常に重要です。引き続き通院の必要がある場合の通院頻度や、再発の可能性、その際の会社側への連絡体制なども含めて、どのような配慮が必要となるかを明記してもらいましょう。

主治医が会社に伝えておきたい事項や、円滑な復職を推進するために必要と考える事項があれば、具体的に記載してもらうことが望ましいです。

 

復職の診断書を主治医に依頼する際の留意点

診断書の作成を主治医に依頼するにあたり、以下の点を事前に主治医に伝えておくことで、よりスムーズで適切な診断書作成に繋がります。

まず、勤務先で行われている主な業務内容を具体的に主治医にお伝えください。オフィスワークが中心なのか、肉体労働が多いのか、あるいは外出や出張が多い業務なのかなど、心身に関する負担の程度が主治医に伝わるように説明することが重要です。

これにより、従業員の業務内容を理解した上で、復職の可否や必要な配慮についてより的確な判断を下すことができます。

また、復職に関して従業員自身が不安に感じている点があれば、あわせて主治医に伝え、診断書の作成を依頼しましょう。

例えば、「長時間労働はまだ難しいかもしれない」「特定の作業は負担になる可能性がある」といった懸念事項を共有することで、主治医はそれらを踏まえた上で、会社への配慮事項を診断書に盛り込むことができます。

人事担当者は、従業員の復職手続きを進める上で、診断書に記載されている内容を主な判断材料とします。そのため、診断書に記載されていない内容については、会社として配慮ができかねる場合があります。不安がある場合は、事前に人事担当者に対し、「どのような内容を診断書に記載してもらうべきか」を具体的に確認しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。復職の診断書提出時期について

休職期間満了の1ヶ月前を目安に、主治医に診断書の作成をお願いすることが一般的とされています。これは、会社側が復職に向けた準備期間を確保し、適切な配置や業務調整を行うために必要な時間だからです。

診断書を会社に提出するタイミングは、基本的には人事担当者の指示に従うようにしてください。一般的には、従業員が会社に復職の意思を伝えた後に提出することになります。手渡し、郵送、メールなど、提出方法についても会社が指定する方法で実施しましょう。

また、企業としては提出期限を設け、従業員はこの期限を遵守することが求められます。期限内に診断書を提出できない場合、復職手続きが遅れるだけでなく、休職期間の延長や、場合によっては休職期間満了による退職といった事態に発展する可能性もありますので注意が必要です。

 

復職診断書受領後の企業の対応ステップ

ここからは、企業および人事担当者が診断書を受領した後の対応方法をステップ形式でご紹介いたします。

ステップ1:診断書の内容確認と情報共有

診断書を受領したら、まずその内容を詳細に確認することが重要です。「診断名と症状」「復職可能日」「就業上の配慮事項」など、記載されている情報を漏れなく把握しましょう。

その上で、関係部署の責任者や直属の上司、そして産業医に対し、診断書の内容を正確に情報共有します。この際、診断書は個人情報保護の観点から非常にデリケートな書類であることを認識し、取り扱いには十分に注意してください。必要最小限の関係者への共有に留め、情報漏洩がないよう厳重な管理を徹底する必要があります。

ステップ2:産業医との連携

復職の判断には、医学的な見地からの評価が不可欠となります。そのため、診断書を受領後、速やかに産業医に診断書を確認してもらい、医学的な意見を求めましょう。

また、復職の際には産業医面談も実施します。産業医と従業員が直接面談し、従業員の健康状態や、就労に関する具体的な課題がないかを確認します。この面談では、従業員が抱える不安や疑問を解消するとともに、会社側で配慮が必要な点についても話し合うことがあります。産業医の意見は、会社として復職の可否を判断する上で極めて重要な情報となり、最終的な判断の根拠となります。

ステップ3:復職面談の実施

従業員、直属の上長、そして人事担当者の三者で復職面談を実施します。産業医が同席される場合は、医学的な見地からのアドバイスを得るためにも、同席してもらうことが望ましいです。

復職面談では、主に以下の内容について話し合います。

・従業員の体調、服薬状況など

 現在の体調、症状の状況、服薬状況など、従業員自身の体調に関する現状を詳しく確認します。

・業務内容の調整

主治医や産業医の意見、そして従業員本人の希望も踏まえ、復職後の具体的な業務内容、残業の有無、配置転換の必要性などを検討します。過度な負担を避けるための業務量の調整や、特定の業務からの外れるといった配慮も検討対象となります。

・勤務形態

時間短縮勤務や時差出勤など、従業員の体調に合わせた柔軟な勤務形態の導入の必要性について検討します。段階的に通常勤務に戻していく「ならし勤務」の期間や内容についても具体的に話し合います。

復職面談で話し合った内容、主治医の診断、そして産業医の意見などを総合的に判断し、会社として復職の最終判断を行います。〈このような場合は?〉復職を延期する場合

面談の結果、残念ながら復職が困難であると判断された場合は、従業員にその理由を丁寧に説明し、改めて治療・療養に専念してもらうか、症状が安定するまで復職時期を延期するなどの対応を検討します。

この際も、主治医や産業医との密な連携が不可欠であり、従業員が安心して治療に専念できるよう、会社として最大限のサポート体制を整えることが求められます。

 

最後に:復職後もフォローアップを

復職はゴールではなく、むしろ新たなスタート地点と捉えるべきです。職場復帰後も継続的なフォローアップが極めて重要となります。復職後の支援が不十分な場合、従業員が体調を崩し、再び休職してしまう「再休職」のリスクや、最悪の場合、会社を辞めてしまう「離職」といったリスクもあります。

そのため、復職後も定期的な面談を実施し、従業員の体調や業務への適応状況を継続的に確認しましょう。

必要に応じて、業務量の調整や、働き方の見直しなど、柔軟かつ適切に対応することが、従業員の健康維持と安定的な就労を支える上で不可欠です。会社全体で従業員の復職をサポートする体制を構築し、安心して働ける環境を提供することが、企業の持続的な発展にも繋がります。

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

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