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【プロフィール】 ・年代: 40代 ・専門科目: 精神科、公衆衛生 ・産業医経験: 5年(20社以上) ・主な働き方: 嘱託産業医として、さまざまな企業を担当。 |
「産業医」と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
健康診断の事後措置やストレスチェックなど、業務のイメージはあっても、実際にどのような人が、どのような思いで働いているのか、意外と知られていないかもしれません。
今回は、嘱託産業医として20社以上の企業を担当し、ご自身のキャリアを「産業医に専念するようになった」と語る、精神科医の先生にお話を伺いました。産業医を目指すきっかけから、そのやりがいまで、知られざる産業医のキャリアのリアルをお届けします。
――先生は、もともと研究者としてご活躍されていたとお聞きしました。産業医の資格を取得されたのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?
先生: 産業医を始めた当初は、公衆衛生や精神保健の研究に携わっていました。病気の予防や、病気になった方の社会復帰をテーマにしていたので、「働く」というフィールドには元々関心があったんです。そんな時に、研究室の同僚から「産業医をやってみないか」と声をかけてもらい、2019年に資格を取得しました。
――ご自身の関心領域と重なっていたんですね。実際に産業医の仕事を始めたのはいつからですか?
先生: 翌年の2020年から、同僚の先輩が所長を務める産業医事務所を通して、嘱託産業医の仕事を始めました。この事務所の先生がスーパーバイザーとして、困ったときに相談に乗ってくださったので、大きな不安もなくスタートを切ることができました。産業医をこれから始める方は、気軽に相談できる相手を確保しておくことが大切だと思います。
――当初は研究と並行して産業医の仕事をされていたそうですが、現在は産業医の仕事に専念されているそうですね。
先生: はい。産業医の仕事が面白くなってしまって、2022年からは嘱託産業医一本で働くようになりました。研究や臨床とはまた異なる大きな魅力を感じたんです。
――具体的にはどのような点に魅力を感じられましたか?
先生: 一番は、診察室ではないところで、病気を抱えた人や、病気を克服した方が活躍している姿を直接見られることです。職場という、その人にとって価値のある大切な場所で、社会の中でいきいきと働いている姿を目の当たりにできるのは、本当に嬉しいですし、医師冥利につきますね。
また、私は純粋にさまざまな人や人生に興味があるのですが、複数の企業で産業医をすることで、多様な働き方や仕事、今まで出会うことのなかった人たちにたくさん出会うことができ、とても勉強になりました。
――働き方としては、どのような変化がありましたか?
先生: 嘱託産業医に専念するようになって、働き方はより自由度が高くなりました。夜間や土日に仕事が入ることはほとんどないので、生活リズムを組み立てやすいのは、臨床とは大きく違う点です。ただ、フリーランスなので、自分が健康で働き続けられるかという不安は常にあります。しかし、医師はキャリアチェンジをしても、いつでもまた別の選択肢を選べる強みがあると思っています。
――産業医を初めて選任される人事担当者の方は、「どんな産業医を選べばいいんだろう?」と悩まれることが多いようです。先生は、どのような産業医が、企業の担当者にとって良い存在になると思われますか?
先生: 専門科目でいうと、精神科医であることのデメリットもあるかもしれません。メンタル不調の方への思い入れが強くなりすぎて、会社や周囲の利益との調整が難しくなってしまうケースも考えられます。
重要なのは、さまざまな人の話を聞いて、広い視野で判断ができるかどうかに尽きると思います。医師は目の前の患者さんの利益を最大限に考えることが求められますが、産業医は違います。本人だけでなく、会社全体や上司、周囲の人々のことも考え、その最大公約数で利益を調整し、落としどころを見つけるのが産業医の役割です。
――なるほど、専門科目だけでは判断できない部分があるんですね。
先生: はい。企業の担当者の方には、形式的な情報だけでなく、「メンタル不調の方に配慮すると、周囲の負担が増してしまう」といった、難しい事例にどう対応するかを直接聞いてみることをおすすめします。その答えに、その産業医の経験値や価値観が表れると思います。
また、複数の企業で産業医を経験していると、会社ごとのやり方の違いを知っているので、企業に合ったアドバイスができるというメリットもあります。多くの産業医の先生と話してみて、信頼できる方を選んでほしいですね。
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