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リスクアセスメントとは、事業場の危険性や有害性を洗い出してリスクを見積もり、低減措置を検討・決定するまでの一連の手順です。
リスクアセスメントを実施するためには、リスクアセスメント評価表の書き方や実施方法について理解しておかなければなりません。
本記事では、リスクアセスメント評価表が用いられる事業場や評価表の書き方、リスクアセスメントの実施方法を解説します。
リスクアセスメントの評価表とは、事業場でのリスクの発生およびその影響を見積もり、実施すべきリスク低減措置の優先順位を決めるために用いるシートです。リスクアセスメント評価表を作成することで、実効性のあるリスク低減措置ができるようになります。
リスクアセスメント評価表の形式や書き方に決まりはありません。厚生労働省の「リスクアセスメント記録表」からエクセルファイルのフォーマットがダウンロードできるので、活用するとよいでしょう。
【参考】厚生労働省「職場のあんぜんサイト:リスクアセスメント」
労働安全衛生法により、業種や事業場の規模を問わず、危険有害性のある所定の化学物質(640物質)の製造や使用をする事業場は、リスクアセスメントの実施が義務付けられています。これらに該当しない製造業や建設業、自動車整備業などの事業者に対しては、努力義務とされています。
努力義務のため強制力はないものの、事業者には従業員に対する安全配慮義務があるため、事業場のリスクを調査・特定し、適切な措置を講じる必要があることは明白です。
自社が義務化対象でなくてもリスクアセスメントを実施し、評価表を用いて労災防止に努めましょう。
【参考】
厚生労働省「職場のあんぜんサイト:化学物質」
厚生労働省「労働災害を防止するため リスクアセスメントを実施しましょう」
リスクアセスメント評価表に記載する主な内容は、以下のとおりです。
項目 | 記載内容 |
基本項目 | 対象事業者、実施年月日、実施管理者、実施者などを記載 |
作業名、工具および機械設備名 | 「〇〇の物質を使用した△△作業」「プレス1号機」など、具体的な作業名・機会設備名を記載 |
危険性・有害性により発生リスクがある災害 | 災害が発生する恐れのあるプロセスを具体的に記載
例)柵の中に作業員がいるとき、他の作業員が誤って機械のスイッチを入れ稼働させてしまう |
既存の災害防止対策 | 現在実施している災害防止対策を記載 |
リスクの見積もり | 災害が発生する頻度・可能性・重篤度を数値化して記載。合計点からリスクの見積もりを把握 |
リスク低減措置案 | リスクも見積もりを踏まえ、リスク低減措置案を記載 |
低減措置実施後の想定リスクの見積もり | 「リスクの見積もり」と同様の評価基準で、低減措置実施後の想定リスクの見積もりを記載 |
残留リスク | 対策を講じても、ある程度残ってしまうリスクについて記載 |
上記以外にも、事業場で共有すべき内容がある場合は、必要に応じて項目を追加し記載しましょう。
リスクアセスメントの評価表には具体的な内容を記載し、社内の誰が見ても理解できるように作成するのがポイントです。
【参考】厚生労働省「リスクアセスメント表(例1)」
職場でリスクアセスメントを実施する際は、以下の手順で進めます。
従業員が安心して安全に働ける職場環境の整備・維持するために、それぞれの手順について理解を深めておきましょう。
【参考】厚生労働省「プレス事業場におけるリスクアセスメントのすすめ方」
まずは、安全衛生管理活動の一環としてリスクアセスメントを導入する旨を、経営トップや管理者が決意表明し推進組織を構築します。
基本的にリスクアセスメントは、推進メンバーが中心となって行うため、リスクアセスメントの担当者を選任し、推進メンバーを決めなければなりません。
リスクアセスメントを滞りなく実施するために、リスクアセスメントの担当者には、安全管理者や製造ラインの管理者などが適しています。また、推進メンバーには、現場をよく知る職長や作業者も参加するよう推奨されています。
リスクアセスメントは、以下のタイミングが始めやすいでしょう。
いきなりすべての作業に対して実施するのは難しいので、まずは危険度の高い作業や作業場所、機械を絞り込み実施時期を決定しましょう。
作業場や作業工程などにおける危険性や有害性を特定し、発生リスクがある災害を洗い出します。リスクの特定には、以下の情報源を確認しましょう。
危険性や有害性を的確に特定するためには、上記の情報を従業員に報告させる仕組み作りも必要です。
特定した危険性や有害性に対してリスクを見積もります。リスクを見積もる主な方法には、以下の2つがあります。
加算式は、リスクの要素ごとに配点基準(10段階評価など)を設けてリスク評価を数値化し、それらを加算した合計点数で見積もる方法です。リスクの評価要素は、以下などが挙げられます。
(出典:厚生労働省「リスクアセスメント評価基準(例)安全編」)
合計値が高いほど労災が発生する可能性が高く、早急にリスク低減措置を実施する必要があります。
加算式によるリスク評価方法は比較的シンプルなので、リスクの優先順位を付けやすい点がメリットです。
積算式は以下4つのリスク要素ごとに配点基準を設け、それぞれのリスク評価数値を積算してリスクを見積もる方法です。
積算式は、加算式と比べてリスク低減効果を反映しやすい点が特徴です。
加算式の場合、各リスク要素が個別で評価されるため、一つのリスク要素が低減されても、作業場全体のリスク低減効果は、あまり反映されません。
一方、積算式の場合は、各リスク要素の相互作用が反映されるため、加算式と比べてリスク低減効果をより把握できます。
リスクの見積もりをしたら、評価点数に応じてリスク低減措置の優先度を付けます。優先度の判断基準は、厚生労働省の資料を参考にするとよいでしょう。
(出典:厚生労働省「プレス事業場におけるリスクアセスメントのすすめ方」)
リスク低減措置の優先度を付けたら、対策を検討します。対策は以下の順で検討しましょう。
費用対効果も踏まえながら複数の案を出し、その中から最適なものを採用します。
リスク低減措置を決めたら、リスクアセスメントの担当者がスケジュールに従って実施します。実施後は、リスク低減措置の効果や作業性・生産性におよぼす影響について確認が必要です。
また、措置後に新たな危険性・有害性が生じていないか調査も行いましょう。
リスクアセスメントの実施状況を記録に残し、リスク低減措置の効果の有無を評価します。効果がなかった措置や、新たな危険性・有害性が発生した場合は、措置内容の見なおしが必要です。
また、技術上の問題などでどうしても残ってしまうリスク(残留リスク)があります。残留リスクがある場合は、記録に残した上で従業員に周知し、リスク低減対策を引き続き徹底させるようにしましょう。
リスクアセスメントの実施で期待できる効果は、以下などが挙げられます。
それぞれの内容について解説します。
リスクアセスメントを実施すると、これまで気づいていなかった作業場や作業工程などにおけるリスクが明確になるため、実効性の高い対策が取りやすくなります。そのため、労働災害を未然に防げます。
また、潜在的なリスクが明確になれば、従業員は規定を遵守すべき理由や安全基準の理解が深まり、細かな点にもよりいっそう注意して作業に取り組むようになるでしょう。
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リスクの見積もりを行うことにより、実施する安全衛生対策に適切な優先順位が付けられます。優先度の高いリスクから対処していけば、効率的に安全衛生対策ができます。
リスク低減対策には時間や労力、コストがかかり、一度にすべてのリスクに対応するのは容易ではありません。
死亡や失明などの重篤災害が生じる恐れがあるリスクから措置を講じましょう。影響が少ないリスクに対しては、暫定的な対策を取りつつ優先順位に沿って措置を実施します。これにより、効率よくかつ網羅的にリスク低減が図れます。
リスクアセスメントを実施することで、安全衛生のリスクについて職場全体で共有できます。そのため、従業員は「なぜ注意して作業しなければならないのか」を合理的に理解できるようになり、安全意識の向上が期待できます。
また、記録として残すことで、新入社員や経験が浅い従業員にもリスクに対する認識を共有しやすくなるでしょう。
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リスクアセスメントの評価表を作成することで、事業場にて適切なリスク低減措置が講じられるようになります。
評価表には、危険性・有害性により発生リスクがある災害について具体的に記載し、リスクを見積もりましょう。リスクの見積もりを踏まえ、優先順位をつけてリスク低減措置を実施すれば、効率的に安全衛生対策ができます。
リスクアセスメント評価表を用いて実効性のある対策を実施し、従業員が安全に健康を維持して働けるよう努めましょう。
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