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人事が知っておきたい「病欠が多い社員」への対応方法

欠勤を繰り返す社員の存在は、個人の問題に留まらず職場全体の生産性や士気にも影響を及ぼす重要な課題です。その背景には、業務に関連する心身の不調が要因として存在している可能性があります。

そのため、人事担当者や産業保健スタッフは、社員に対して慎重かつ丁寧な対応を心がける必要があります。

本稿では、人事担当者として認識しておくべき、病欠が多い社員への対応方法について解説します。

 

欠勤に関する法律・就業規則を確認する

欠勤の取り扱い

民法第624条第1項には、「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。」と規定されています。

この原則はいわゆる「ノーワーク・ノーペイの原則」と呼ばれ、社員が自己都合により欠勤した場合、会社はその日の賃金を支払う義務を負わないというものです。

では、どの程度の頻度をもって「欠勤が多い」と判断するのでしょうか。

これについては、出勤日数が所定労働日の8割未満である場合、欠勤が多いと判断する目安の一つとなると考えられます。

 

病欠が多い社員の解雇に関するリスク

日本の労働法上、欠勤が多い社員の解雇は、非常に慎重な判断が求められます。安易に実施した場合、「不当解雇」と見なされ、会社が訴訟リスクを負う可能性があるためです。

労働契約法第16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めており、「病欠が多い」という事実のみでは、この要件を満たさない場合があります。

また、欠勤がちな社員に対して、会社は具体的な指導や改善の機会を提供する必要があります。例えば、医師の診断書の提出を求めたり、健康状態を確認したり、復職支援のための措置を検討したりすることが求められます。

 

就業規則に基づく欠勤対応

まず、自社の就業規則における欠勤の取り扱いについて改めて確認しておくべきです。

欠勤に関する取り決めが曖昧である場合は就業規則を改訂する、多くの社員に周知されていない場合は周知を徹底するなど、ルールの整備が肝要です。

そして、正当な理由なく欠勤を繰り返す場合や、勤怠連絡を怠る場合は、就業規則に基づいて対応を行います。

状況に応じて社員に対して注意や指導を行うことも検討されますが、その際は決して感情的にならないように注意が必要です。

コミュニケーションを実施する際は、欠勤が続いてしまう理由を的確に把握するよう努め、場合によっては産業医などの専門家に相談します。

 

病欠が多い社員への対応方法

面談前の勤務状態の把握と記録

社員との面談を実施する前に、勤務状態を把握する必要があります。

過去の欠勤頻度や傾向(例えば、特定の曜日に多い、連休明けに欠勤が続く、など)があれば、記録として残しておくべきです。

また、病欠の連絡を受けた際は、その理由についても同様に記録しておくことが望ましいです。

 

面談時における欠勤理由が「病欠」であるかの確認

社員に対し、欠勤が続く理由をヒアリングします。欠勤理由が生活態度によるものであれば、改善に向けた指導を行う必要があります。

一方で、欠勤理由が病気に関連するものであれば、医師等の専門家の介入が不可欠であり、場合によっては休職対応を行います。

面談を実施した際は、日時、会話の内容、社員の発言、会社からの指示内容などを記録に残します。これにより、万が一トラブルが発生した際に客観的な証拠となる場合があります。ただし、知り得た情報は適切に取り扱うよう注意が必要です。

 

「病欠」が多い社員への対応

欠勤の理由が心身の不調(またはその可能性がある)の場合には、医療機関の受診を促し、医師の診断書を提出してもらうべきです(提出のルールを就業規則で定めることが有効です)。

また、医師の診断内容を基に、休職の検討や産業医面談の実施に進みます。

 

病欠社員が休職となる場合の対応

休職開始から休職中の対応

休職が決定したら、まずは社員に対し就業規則に定められた休職制度について説明します。

具体的な内容としては、休職期間、給与・社会保険の扱い、復職までの流れ、必要書類などを明確に伝え、社員が安心して療養に専念できる環境を整えるべきです。

また、休職中は社員と適切にコミュニケーションを取ります。その際は本人の負担とならないよう配慮し、状況確認や体調の状況を確認します。

それと同時に、休職中に行われた社内の組織変更などがあった場合は、必要に応じて情報を共有します。

 

主治医・産業医との連携

社員の同意を得る必要がありますが、産業医と主治医が情報連携を図り、治療状況や復職見込みについて確認することは効果的です。これにより、より正確な復職判断が可能になります。

復職の際は、主治医の診断書に基づき産業医が就業判定を行います。その上で、会社が復職の判断を行います。

復職が見込めない等の場合は、休職期間満了が近づいたら、改めて社員に復職の意思や状況を確認します。

 

復職時の流れ

復職可否の判断は、社員の健康状態と業務遂行能力を慎重に見極める重要なプロセスです。

復職の面談では、社員、管理職、人事担当者、そして可能であれば産業医を交えて面談を行い、復職への意欲や現在の体調、業務への不安などを確認します。

また、場合により職場復帰支援(時短勤務の提案、配置転換など)プランを策定します。

 

定着支援と再発の防止

復職後は継続的な支援を行うことで定着を促し、再度の休職防止に努めるべきです。

具体的には、人事担当者や産業医との定期的な面談を実施することで、勤怠状況や健康状態から改善案を提示することも重要です。

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

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