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ISO45001とは、従業員の安全と企業を守るための労働安全衛生マネジメントシステムの規格です。ISO45001の取得には、低コストで労働環境の改善が目指せるなどをはじめとした、さまざまなメリットがあります。
しかし、ISO45001を取得するために、具体的にどうすればよいか分からない人事・労務担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、ISO45001を取得する目的やメリット、取得のために満たさなければならない要求事項について解説します。取得の手順も紹介していますので、ISO45001の取得に向けてぜひ参考にしてください。
ISO45001とは、従業員の心身にとって安全な労働環境を継続的に維持するための労働安全衛生マネジメント規格です。業種・業態・企業規模を問わず、あらゆる職場の労働環境を整えるための必要事項が定められています。
ISO45001を取得する目的は、主に以下のとおりです。
2024年2月28日時点では全国で310組織が取得しており、建設業や金属製品の製造業などのリスクが高い業種での取得が多く見られます。
【参考】
JQA(日本品質保証機構)「概要 | ISO 45001(労働安全衛生)」
日本適合性認定協会「適合組織統計データ」
日本適合性認定協会「適合組織検索」
ISO45001を取得するメリットは、以下の3つが挙げられます。
それぞれの内容について解説します。
ISO45001を導入するメリットは、従業員が働きやすい環境を維持できることです。労働安全衛生における課題やリスクを特定して取り除くプロセスの構築・運用が求められているため、安全な環境を維持しやすくなります。
また、ISO45001を取得するには、構築したプロセスの運用を従業員へ落とし込むことも実施しなければなりません。
これらの求められる基準を満たすことで、労働災害リスクを抑えられるので、従業員・企業の双方が不利益を受けにくい環境となり、安全な労働環境が維持できます。
ISO45001認証を受けた企業は公表されるため、企業価値や信頼性の向上を図れます。従業員が安全に働ける職場環境であることを対外的に示すことで、ステークホルダーからの信頼獲得につながるためです。
また、求職者へのアピール材料の一つになり、人材が確保しやすくなるのもメリットです。
ISO45001では、労働安全衛生についてどのようにマネジメントすればよいかが体系化されているので、管理体制をゼロから構築する必要がありません。
そのため、何もない状態から手探りで構築するよりも、ISO45001認証に向けて労働安全衛生を改善するほうが時間・人員・費用を抑えられます。
ISO45001の取得には、以下の要求事項が定められています。
企業は、それぞれの要求事項の要件を満たしている必要があります。要求事項について理解しておきましょう。
【参考】日本品質保証機構「いかにして効果的な労働安全衛生マネジメントシステムを構築するか」
「組織の状況」には、以下の内容を整理して労働安全衛生マネジメントシステムを確立すべきと定められています。
上記を踏まえ、どの手段を用いて誰がどのような方法でプロセスを確立し、結果を評価していくかを決定します。
事業者には、リーダーシップや以下の13のコミットメントを実行していることの証明が求められます。
a) 安全で健康的な職場と活動の提供に対する全体的な責任
b) 労働安全衛生方針・目標と組織の戦略的方向性との両立 c) 組織の事業プロセスと労働安全衛生マネジメントシステム 要求事項の統合 d) 労働安全衛生マネジメントシステムに必要な資源が利用可能 e) 労働安全衛生マネジメント及び要求事項への適合の重要性の 伝達 f) 意図した成果の達成 g) 労働安全衛生マネジメントシステムの有効性に寄与するよう 指揮、支援 h) 継続的改善の推進 i) 管理層の役割を支援 j) 労働安全衛生文化の形成・主導・推進 k) インシデント、危険源、リスク及び機会の報告をするときに 報復から働く人を擁護 l) 協議及び参加のプロセスを確立、実施 m) 安全衛生に関する委員会の設置と支援 |
(出典:日本品質保証機構「いかにして効果的な労働安全衛生マネジメントシステムを構築するか」)
要求事項を満たすための形式だけではなく、リーダーシップを取って計画を実行していくことが重要です。
また、労働安全衛生マネジメントシステムの構築には、従業員も参加させるようにと規定されています。事業者が一方的に方針を決めるのではなく、従業員の意見も聴き、採決に参加できるよう働きかけましょう。
労働安全衛生リスクや機会の特定・分析・評価をして、労働安全衛生向上の取り組み計画を策定するよう求められています。本項目で示すリスクと機会は、以下の4項目を指します。
・労働安全衛生リスク(6.1.2.2)
危険な事象またはばく露の起こりやすさ、負傷および疾病の重篤度との組合せ。(従来からのいわゆるOH&Sリスク)
・労働安全衛生機会(6.1.2.3) 労働安全衛生パフォーマンスの向上につながり得る状況または一連の状況。
・労働安全衛生マネジメントシステムに対するその他のリスク(6.1.2.2) OHSMSの確立、実施、運用および維持に関係するリスク。
・労働安全衛生マネジメントシステムに対するその他の機会(6.1.2.3) OHSMSを改善する機会。 |
(出典:日本品質保証機構「いかにして効果的な労働安全衛生マネジメントシステムを構築するか」)
計画を策定する目的は以下のとおりです。
労働安全衛生リスクは、人体に影響を与える危険源を特定し、リスクアセスメント手法によって詳細に評価しなければなりません。リスクレベルに応じて優先度を決定し計画に盛り込みます。
【関連記事】OHSMS(労働安全衛生マネジメントシステム)とは?実施するメリットや導入方法も解説
労働安全衛生マネジメントシステムの構築・運用で必要となる、以下4つの要素が求められます。
従業員にリスクアセスメントを認識させ、リスクを回避することで従業員が不利益にならないよう教育することが求められています。
また、社内従業員や社外と情報共有が適切に行われるためのコミュニケーションプロセスの確立・実施・維持も必要です。社外とは、たとえば取引先や労働基準監督署、地域住民などが該当します。
労働安全衛生マネジメントシステムのプロセスに関わる計画・実施・維持が要求されています。具体的に定められている要求事項は、以下のとおりです。
労働安全衛生マネジメントシステムの運用では、何を使って誰がどのように実現し、結果をどう評価するかを意識したプロセスを確立しなければなりません。
また、請負者や外部委託先の管理も要求事項に含まれています。たとえば、外部委託先の社員の心身に危険がおよぶような依頼をしないことなどが該当します。
「パフォーマンス評価」では、構築した労働安全衛生マネジメントシステムの有効性について評価するよう要求されています。
「要求事項が守られパフォーマンスが向上しているか」の評価方法を決定し、評価のプロセスを確立しなければなりません。
また、管理責任者は、事業者にパフォーマンス評価結果を報告する必要があります。報告を受けた事業者は、改善に向けた必要な措置や新たな資源を投入すべきかを判断しなければなりません。
構築した労働安全衛生マネジメントシステムを改善し、労働安全衛生パフォーマンスを継続的に向上させることも要求事項の一つです。要求事項に沿っていない部分があった場合は、改善する必要があります。
また、必要に応じてリスクアセスメントの結果を振り返り、当初のリスク予測が正確であったか、対策が有効に実施されているかなどの検証も求められています。
ISO45001を取得する流れは以下のとおりです。
それぞれのステップについて解説します。
【参考】JQA(日本品質保証機構)「ISO45001(労働安全衛生)認証取得・維持の流れ」
ISO45001を取得するには、認証取得までのスケジュールを決め、取得審査前に労働安全衛生マネジメントシステムを構築して運用しなければなりません。
労働安全衛生マネジメントシステム構築のために行うべきことは、以下が挙げられます。
上記を構築したら実際に運用し、取り組み内容の記録と分析を繰り返し実施します。運用中は、組織内の人員もしくは外部コンサルタントによる内部監査を実施し、マネジメントシステムを評価しなければなりません。
内部監査の結果、不適合があった場合は、その原因を取り除き再発防止の処置(是正処置)を行い運用します。
審査登録申込書と審査登録契約書を提出し、審査に申し込みます。審査は2段階で実施され、以下がチェックされます。
審査 | 審査内容 |
1段階目の審査 | 労働安全衛生マネジメントシステムの構築状況をチェック |
2段階目の審査 | 実施状況を評価し規格へ適合しているかをチェック |
1段階目と2段階目の審査の間隔は1〜6ヶ月程度です。審査の結果、不適合事項があった場合は、指定の期日までに是正処置計画書を提出する必要があります。
2段階の審査を経て、ISO45001の登録が可能と判断されたら登録証が発行されます。ISO45001認証には3年間の有効期限があり、認証を維持するためには更新審査を受けなければなりません。
有効期限内であっても1年ごとの定期審査があり、労働安全衛生マネジメントシステムが継続して規格事項に適合しているか確認されます。
ISO45001の認証取得には審査費用がかかり、費用は組織の人員数や事業所数などに応じて異なります。
具体的な金額を知りたい場合は、最寄りの日本品質保証機構へ見積作成依頼書を提出し、見積もりを依頼しましょう。
担当する事業所がISO45001の要求事項を満たしているかどうか判断できない場合は、以下を検討することをおすすめします。
上記の対応が必要な場合は、コンサルタントの外注費用やISO45001養成セミナーへの参加費用も考慮しましょう。
【参考】
日本品質保証機構「JQA事務所一覧」
日本品質保証機構「見積作成依頼書(ISO45001)」
ISO45001の取得には、従業員の労働環境を安全に維持しつづけられる、企業の信頼性や価値の向上につながるなどのメリットがあります。
また、ISO45001の要求事項に取り組むことで、ゼロから対策するよりも少ない時間や費用で労働環境の改善が目指せます。
従業員の健康を守るためにもISO45001を取得し、労働環境をより良く向上させていきましょう。
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