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産業医面談を依頼・実施する基準とは?―今さら聞けない産業保健vol.2

産業保健の現場で人事労務担当者が直面する疑問や課題を取り上げる本シリーズ。回答するのは、これまで1,000社以上の相談に対応してきたエムスリーキャリア セールス&コンサルティングチームです。

今回の相談者は、産業医面談をどのようなタイミングで依頼・実施するか悩まれているB社の産業保健担当者・鈴木さん(仮名)です。

質問

質問者 B社 人事労務担当 鈴木さん

産業医面談を依頼・実施する基準はどうやって決める?

「IT企業で人事労務を担当しています。現在、事業の成長に伴い、取引企業数が急増しています。そのため、人手不足で一人ひとりに過度な負荷がかかっていて、労働環境は決して良いとは言えません。

会社全体の労働環境改善に取り組みつつ、従業員の健康管理もしていきたいと考えています。そのために産業医面談は有効だと考えているのですが、産業医面談を依頼・実施する基準はどのように決めればよいのでしょうか。」

回答

回答者
エムスリーキャリア株式会社 セールス&コンサルティングチーム 岩脇

自社に合わせた基準を設けましょう 具体例は・・・

ご質問いただき、ありがとうございます。

まず、産業医面談にはどういったものがあるかを整理していきましょう。

主な産業医面談として、

  • 健康診断後の就業判定や保健指導に伴う面談
  • 休職・復職面談
  • 高ストレス者への面接指導
  • 長時間労働者への面接指導

などがあります。

これらの中には、面談の実施を法令で定めているものもありますが、従業員は必ずしも面談を受ける義務はありません。産業医面談の実施義務があるのは企業側で、実施されるのは従業員が希望した場合のみとなります。

普段、企業様とお話をさせていただくと、産業医面談を依頼・実施する基準を特に決めていない企業様も多いです。その都度判断するのは時間も労力もかかるため、事前に「産業医面談を依頼・実施する基準」を作ることをおすすめします。

基準に関して、具体例をいくつか紹介したいと思います。

        • Case1:長時間労働
          法令で定められている、月に80時間を超える(または2~6か月平均で月80時間を超える)時間外・休日労働をした従業員に対して産業医面談を実施する企業がほとんどです。その基準を下回っているものの、月60時間以上の時間外・休日労働をした従業員を対象に産業医面談を実施する企業も一定数います。法令を基準に、企業の状況によって基準を設けることをおすすめします。

       

      • Case2:健康診断の結果をもとに面談
        • 企業によっては、健康診断の結果にD判定以上のものがある場合、産業医面談を義務付けているところもあります。従業員の平均年齢が高い企業は、それに比例して有所見者が多くなりがちです。従業員の健康を守るためにも、健康診断の結果を産業医面談の実施基準にすることはおすすめです。

       

        • Case3:勤怠不良
          定期的に勤怠不良が発生する従業員に対して、産業医面談を実施する企業もあります。例えば、月曜日は休みがち、2週間に1回の頻度で欠勤するなど、勤怠不良に規則性がある、頻度が高いといったケースです。部署単位の欠勤率を算出し、それを上回る場合には産業医面談の対象者としてもよいでしょう。

       

      • Case4:仕事中の居眠り
        本人の不摂生もあれば、何らかの病気が潜んでいるため注意が必要です。持病があり服薬している場合、副作用として眠気が生じることも考えられます。本人から面談希望を申し出るケースは少ないため、周囲からの指摘が増えてきたら面談の実施を検討してみましょう。

     

    • Case5:仕事と治療の両立支援が必要な場合
      企業としてどこまで配慮するか難しいですが、周囲への影響は少なからずあります。病気やその進行具合によって、産業医面談を実施する基準を設けるとよいでしょう。

このように、産業医面談を実施・依頼する基準を検討するにあたり、自社の状況と照らし合わせて決めていくとよいでしょう。その判断基準となるのが、自社を構成する要素となります。

【自社を構成する要素一例】

  • 従業員数
  • 男女比
  • 年齢構成
  • 在宅勤務の比率
  • 業種
  • 事業のフェーズ(立ち上げ期、成熟期など)
  • 離職率
  • 休職者の数や割合
  • 時間外労働の時間

産業医面談の実施に強制力はないとはいえ、企業としては従業員が心配なので産業医面談を受けてほしいのが本音かと思います。日頃から、産業医面談の目的やメリット、産業医には守秘義務があるため面談内容が他言されないことを発信する、従業員が気軽に産業医面談を受けられる環境作りをするなど、産業医面談を身近に感じてもらうことが有用です。

産業医面談を実施したくても産業医を選任していない、現在の産業医が多忙で面談業務をなかなか引き受けてくれないといった場合は、弊社に一度ご相談ください。エムスリーキャリアでは32万人以上のm3.com医師会員基盤を使って産業医をご案内していますので、ご要望にあった産業医がきっと見つかります。

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