熊本県で産業医を探すには？紹介サービスや選任時に考慮すべきポイントを解説

熊本県では、外国人労働者を含めさまざまな人材が活躍しています。一方で、定期健康診断における有所見率の増加や転倒による労災（労働災害）の多発など、産業保健上の課題を抱えています。

これらの課題を解決するためには、産業医と連携して健康指導や労災防止対策を強化することが重要です。

本記事では、熊本県で産業医を探す方法や紹介サービス、選任時に考慮すべきポイントを解説します。

また、選任費用を手軽に知りたい方向けに、見積もりフォームもご用意しました。ぜひご利用ください。

熊本県の産業医数と事業所数

日本医師会の調査によると、 2019年時点において熊本県で活動している産業医は約480人です。産業医の選任義務がある従業員50人以上の事業所は、約1,800件あります。

産業医一人あたりが担当する事業所数は3.7件です。全国平均が5.1件であるため、熊本県は比較的産業医が見つかりやすい地域といえるでしょう。

ただし、自社の課題解決に適した産業医がすぐに見つかるとは限りません。そのため、産業医の選任を検討している場合は、早めに探し始めるとよいでしょう。

【参考】
日本医師会「都道府県別 産業医活動における実態調査分析」
【関連記事】
〈医師解説〉産業医とは？役割・業務内容・臨床医との違い
事業場とは？定義や規模に応じて課せられる義務を解説

熊本県で産業医が必要とされる背景

熊本県で産業医が必要とされる背景には、以下が挙げられます。

・定期健康診断における有所見率が高い
・転倒による労災が多発している
・外国人労働者が増えている

それぞれの背景について詳しく解説します。

定期健康診断における有所見率が高い

熊本県では、職場における定期健康診断の有所見率が高い状況です。熊本労働局の調査によると、2023年における熊本県の定期健康診断の有所見率は61.7％です。全国平均と比べて、高い水準で推移しています。

（出典：厚生労働省 熊本労働局 「令和6年度 熊本における労働衛生の現状」）

2014年から2023年の9年間で有所見率が上昇傾向であり、今後も有所見者が増える可能性があります。

定期健康診断の有所見者がいる場合、労働安全衛生法にもとづき事業者は、業務上の措置について産業医などの医師に意見聴取をしなければなりません。

また、定期健康診断の有所見者を増やさないために、従業員向けの健康づくり対策を行い、従業員の健康に対する意識を向上させる必要もあります。

そのため、 従業員の健康保持増進対策に協力的な産業医が求められます 。

【参考】
熊本産業保健総合支援センター 「健康診断の手引き」
【関連記事】
健康診断の有所見とは？定義や受診勧奨が必要な基準値を解説
健康診断は企業の義務！実施すべき健診の種類や対象者を解説
【産業医寄稿】健康診断の後は、産業医から意見を聞いてますか？！

転倒による労災が多発している

熊本県では、転倒による労災が多発しています。熊本労働局の調査によると、2023年の転倒による労災死傷者数は577人です。熊本県で起きた労災の事故の型の中で最も多く、28.0％を占めています。

転倒による労災の多くは、段差でのつまずきや階段の踏み外しなどが原因で起きています。転倒事故を防止するためには、転倒の危険性がある箇所を特定し、注意喚起するなどの対策が必要です。
そのためには、 産業医を選任して職場巡視を行い、職場の現状を把握したうえで防止策を検討する必要があります 。

【参考】
厚生労働省 熊本労働局「令和5年 熊本県の労働災害発生状況」
厚生労働省 「転倒予防・腰痛予防の取組」
【関連記事】
【社労士監修】労災とは？人事労務担当者が知っておくべき基礎知識と対応方法
産業医の職場巡視は義務？2ヶ月に1回でも良い？目的やチェック項目も解説

外国人労働者が増えている

熊本県では外国人労働者が増えていることから、外国人労働者へのメンタルヘルス対策や安全衛生対策の強化が求められます。熊本労働局の調査によると2024年10月時点、熊本県の外国人労働者数は21,437人です。2007年に外国人雇用状況の届出が義務化されて以降、最多となりました。

外国人労働者を雇用する事業所も過去最多を更新しており、熊本県では今後も外国人労働者が増え続けると予想されます。

外国人労働者は、母国を離れて働く不安や孤独感からストレスを抱えやすい傾向にあります。過度なストレスは、メンタルヘルス不調の原因となりがちです。

また、言語の違いによるコミュニケーションの難しさから、作業内容の指示に誤解が生じやすく、労災の発生も懸念されます。

そのため、産業医と連携して外国人労働者に対するメンタルヘルス対策や、安全衛生対策を強化する必要があります。

【参考】
厚生労働省 熊本労働局 「令和6年「外国人雇用状況」の届出状況集計結果」
厚生労働省 都道府県労働局 労働基準監督署 「外国人労働者安全衛生管理の手引き」
【関連記事】
職場のメンタルヘルスケアとは？ 企業が知っておくべき対策を徹底解説

熊本県で産業医を選任する際に考慮すべきポイント

労災の発生状況や雇用の傾向などを踏まえ、熊本県で産業医を選任する際は、以下の点を考慮しましょう。

・健康指導・健康保持増進対策に協力的か
・労災防止対策に積極的か

それぞれの内容について解説します。

健康指導・健康保持増進対策に協力的か

熊本県で産業医を選任する際は、健康指導や健康保持増進対策に協力的かどうかを確認しましょう。熊本県では、定期健康診断における有所見率が高いからです。

有所見率を低下させるためには、従業員の健康状態や健康に対する意識を把握し、医学的知見を踏まえて対策を講じることが重要 です。たとえば、従業員を対象とした健康セミナーの開催や保健指導の実施などが挙げられます。

このような取り組みを前向きに取り組んでくれる産業医がいると心強いでしょう。

労災防止対策に積極的か

労災防止対策に積極的かも、熊本県で産業医を選任するうえで考慮すべきポイントです。熊本県では、転倒による労災が多発しているからです。

転倒による労災を防止するためには、段差の解消や滑りやすい場所にゴムマットの設置などの対策が欠かせません。そのため、 職場巡視を踏まえた作業環境の改善に協力的な産業医を選任するとよい でしょう。

また、外国人労働者が増加していることを踏まえると、外国人労働者に対する安全衛生対策の強化も必要です。

外国人労働者を雇用する事業所の場合は、 母国語に翻訳した教材や「やさしい日本語」を使用した安全衛生教育を積極的に行ってくれるかを確認 しましょう。

熊本県で産業医を探す方法

熊本県で産業医を探す方法には、以下などがあります。

・産業医紹介会社で探す（エムスリーキャリア）
・地区医師会で探す
・熊本県の地域産業保健センターで探す

それぞれの探し方について解説します。
【関連記事】
〈2025年版〉産業医を探す主な5つの方法まとめ

産業医紹介会社で探す（エムスリーキャリア）

産業医紹介会社を利用すれば、 自社の課題解決に適した産業医を紹介してもらえます 。また、産業医の紹介だけでなく、産業医との契約やスケジュール調整も行ってくれるため、産業医の選任にかかる手間を省けます。

熊本県で産業医紹介会社に依頼する場合は、エムスリーキャリアがおすすめです。

エムスリーキャリアでは、親会社が運営する医療従事者専門サイト「m3.com」に登録された医師のデータベースを活用して産業医を紹介しています。 「m3.com」には、日本の医師の9割が登録しているため、自社のニーズに合った産業医が見つかる でしょう。

スポット契約も可能なため、産業医の選任義務がない小規模事業場で産業医の意見が必要になった場合にも気軽に利用できます。

産業医の紹介については、 問い合わせフォームから相談可能です。

地区医師会で探す

自社がある地域を管轄する地区医師会に相談すれば、産業医を紹介してもらえる可能性があります。 地区医師会からの産業医の紹介は無料 です。

ただし、産業医との報酬交渉やスケジュール調整などには対応していないため、自社で行う必要があります。

熊本県の地区医師会の連絡先は、熊本県医師会のサイトで確認できます。

熊本県の地域産業保健センターで探す

産業医の選任義務がない小規模事業場の場合は、熊本県の地域産業保健センターに相談してみるとよいでしょう。

地域産業保健センターとは、従業員50人未満の事業場を対象に産業保健サービスを提供している機関 です。事前に申請しておくと、以下のようなサービスを無料で受けられます。

・健康診断の有所見者への措置に関する助言
・脳、心臓疾患のリスクが高い従業員への保健指導
・従業員のメンタルヘルス不調に関する相談、指導
・長時間労働者や高ストレス者への面接指導

産業医に対応してもらいたいことが発生した際に活用しましょう。

熊本県の地域産業保健センターは、県内に7箇所あります。各センターの連絡先は、熊本産業保健総合支援センターのサイトで確認が可能です。

【関連記事】
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さんぽセンター（産業保健総合支援センター）とは？ 役割や地さんぽとの違いを解説

熊本県の健康経営に対するインセンティブ

熊本県では、健康経営を推進している企業に対しインセンティブを提供しています。健康経営は、従業員の健康に対する意識向上やメンタルヘルス不調の予防に役立つ取り組みです。 産業医を選任する際は、健康経営の推進も検討するとよいでしょう。

熊本県で受けられる、健康経営に対するインセンティブの一部を紹介します。

熊本県健康づくり県民会議表彰

提供団体：熊本県
制度の概要：主体的に健康づくりを行っており、取り組みの実効性が認められる企業や団体を表彰する制度

熊本県信用保証協会保証付制度融資の金利優遇

提供団体：肥後銀行
制度の概要：協会けんぽ熊本支部発行の「ヘルスター認定証」を保有する企業に対し、熊本県信用保証協会保証付制度融資の金利を0.25％優遇する制度

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熊本県特有の健康課題も考慮して自社に合った産業医を選任しよう

熊本県では、定期健康診断の有所見率が増加傾向にあります。そのため、従業員への健康指導や、健康保持増進対策を積極的に行ってくれる産業医が求められます。

また、転倒による労災が多発しているため、産業医による職場巡視を踏まえて、転倒防止対策を講じる必要があります。

熊本県で産業医を探す際は、産業医会社の利用がおすすめです。自社が抱えている産業保健の課題解決に適した産業医の紹介をしてもらえます。

熊本県特有の健康課題も考慮して、自社に適した産業医を選任しましょう。

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