東京都の産業医紹介サービスは?産業構造から見る選任の必要性も解説

この記事では、東京都の産業構造の特徴や働き方事情から見る産業医の重要性や、東京都での産業医の探し方について解説します。
\ 所要時間1分 /見積もりを出してみる
東京都の産業医数と事業場数
東京都は全国で産業医が最も多く、活動しているのは4,400名です。50人以上の事業所も25,000件で全国最多。産業医一人あたりの事業所数は、5.8社と全国平均(5.1社)よりも高めです。一般的な医師と同じように、産業医は以下のようにそれぞれ専門・得意分野をもっています。
・精神科出身で、メンタルヘルス不調者に対する対応が得意
・有害業務を伴う工場の職場環境改善指導の経験が豊富
・女性の健康問題に強い など
そのため、自社のニーズに合う産業医を探す必要があります。
【参考】日本医師会「都道府県別 産業医活動における実態調査分析」
東京都の産業構造の特徴から見る産業医の重要性
東京都の産業構造には、以下のような特徴があります。・もっとも事業者数、従業員数の多い産業は卸売業・小売業である
・日本全体の情報通信業の事業所の37.2%が所在している
・宿泊業・飲食サービス業の施設数、客室数が増加傾向にある
東京都の産業構造の特徴から見る産業医の重要性を解説します。
卸売業・小売業では労災が多い
東京都でもっとも事業者数、従業員数の多い産業である卸売業・小売業では労災件数が多いため、産業医を選任して労働安全衛生対策を強化することが求められます。厚生労働省の資料によると、2023年の小売業の労災発生件数は16,174件で、全産業の労災発生件数の約1割を占めています。
事故の型としては転倒がもっとも多く全体の36.9%を占め、ついで動作の反動・無理な動作が15.9%、墜落・転落が10.5%との結果です。
小売業における労災の多くは、荷物の搬入や商品の陳列の際に起こっているため、作業環境や作業方法の改善についてアドバイスできる産業医が必要です。
【参考】
東京都の統計「令和3年経済センサス 第2 事業所に関する集計」
厚生労働省「令和5年労働災害発生状況の分析等」
情報通信業ではメンタルヘルスの不調が起こりやすい
東京都には、日本全体の情報通信業の事業所の37.2%が所在しています。情報通信業はメンタルヘルスの不調が起こりやすい産業の一つです。情報通信業は、他職種に比べてリモートワークがしやすく、一人で仕事を進めることが多くなりがちです。社内でのコミュニケーションが希薄になるため、メンタルヘルスの不調が起こりやすくなります。
オンラインでのコミュニケーションの取り方や、自宅での作業環境についてアドバイスしたり、メンタルヘルスの不調に対応したりできる産業医が必要とされています。
東京都の統計「令和3年経済センサス 第1概況~全国における東京都の状況~」
宿泊業・飲食サービス業では高ストレス者が多い
東京都では、宿泊業・飲食サービス業の施設数・客室数が増加傾向にあり、人手不足による労働環境の悪化が懸念されています。業務量の多さや顧客からのクレーム対応などは、ストレスの要因になりがちです。宿泊業・飲食サービス業では、メンタルヘルスの不調に対応できる産業医が必要とされています。
【参考】東京都産業労働局「東京の産業と雇用就業2024」
東京都の働き方事情から見る産業医の重要性
東京都には他の地域と比べて以下の働き方の特徴があります。・大企業が多い
・テレワークが普及している
東京都の働き方事情から見た産業医の重要性を解説します。
大企業では産業医に期待する役割が大きい
東京都のなかでも千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区などの経済の中心となっているエリアには、多くの大企業があります。多くの従業員や本社以外の事業場、多様な業務内容を抱える大企業では、労働衛生に関する活動の規模が大きくなります。そのため、従業員の健康や安全を守るだけでなく、産業保健の面で企業経営をサポートできる産業医が必要です。
産業医はメンタルヘルス対策や産業医面談、職場巡視など産業保健について幅広く理解し、取り組まなければなりません。
また、大企業では産業保健に多くの人が携わっています。大企業の産業医には、関係者と積極的にコミュニケーションをとり、うまく連携していくことが求められます。
テレワークの普及により産業医の役割が多様化している
テレワークの普及により、産業医に求められる役割も多様化しています。テレワークのメリットは通勤の負担が軽減することや育児・介護と仕事の両立がしやすいことなどです。しかし、テレワークが普及すると、従業員一人ひとりの健康状態に目が行き届きにくくなってしまいます。
産業医には、ストレスチェックや健康診断の結果などを参考にしながら、心身に不調を抱えている従業員をケアすることが求められています。
【関連記事】テレワーク中の従業員の不調を防ぐには? 産業医と連携して予防と早期発見を!
東京都で産業医を選任する際のポイント
東京都の産業構造や働き方の特徴を踏まえた上で、産業医を選任する際は以下の点を考慮しましょう。・メンタルヘルス対策ができる産業医を選任する
・産業保健体制の構築も進めておく
それぞれの内容について解説します。
メンタルヘルス対策ができる産業医を選任する
東京都では、情報通信業や宿泊業・飲食サービス業など、メンタルヘルスの不調が起こりやすい産業が多いため、メンタルヘルス対策ができる産業医を選任するとよいでしょう。2020年の東京都のうつ病・躁うつ病の患者数は約24万人で、平成29年の約12万人から大幅に上昇しています。企業は職場にメンタルヘルス不調を抱えた従業員がいることに配慮して労働環境を整えなくてはなりません。
産業医は、主に以下のようなメンタルヘルス対策を行います。
・ストレスチェックによる従業員のストレス状態の評価
・ストレスチェックチェックで高ストレス判定だった従業員との面談
・長時間労働者との面談
・メンタルヘルス教育
・休職者の職場復帰の支援
産業医は疾患の治療はしないため、必ずしも精神科医である必要はありません。メンタルヘルスに不調を抱えた従業員の病態と業務遂行能力を評価し、中立的な立場で事業者に助言できる産業医を選任するとよいでしょう。
【参考】
厚生労働省「職場のメンタルヘルスに関わる人々 ~働く人と共に~」
東京都福祉局「4精神疾患」
【関連記事】従業員のメンタルヘルス対策、産業医に依頼できることは?
産業保健体制の構築も進めておく
産業医を選任する際は、産業保健体制の構築も進めておきましょう。大企業では、産業保健に関する業務量が多くなる傾向にあり、業務量の多さを心配する産業医も少なくありません。従業員の健康管理のための部門を設け、保健師や看護師、産業カウンセラーなどの産業保健スタッフと契約しておくとよいでしょう。
産業医活動をサポートする体制を構築しておくと産業医も安心して契約できるため、産業医が見つかりやすくなります。
【関連記事】産業保健師とは?仕事内容や産業医・産業看護師との違いを解説
東京都での産業医の探し方
東京都で産業医を探す方法は以下の2つです。・産業医紹介会社で探す(エムスリーキャリア)
・東京都の地域産業保健センターで探す
それぞれの探し方について解説します。
【関連記事】〈2024年版〉産業医を探す主な5つの方法まとめ
産業医紹介会社で探す(エムスリーキャリア)
東京都で産業医紹介会社に頼むのであれば、エムスリーキャリアがおすすめです。嘱託産業医であれば、月額3万円から依頼できます。親会社のエムスリーは東証プライム上場企業で、運営している医療従事者向けサイト「m3.com」には医師の約9割が会員登録しています。
こうした会員基盤があるため、東京都での紹介実績が豊富です。23区(千代田区や新宿区、足立区など)以外にも、東京都府中市、西東京市、八王子市、町田市などの企業に産業医を紹介しています。
また、単なる紹介だけでなく、各企業の状況を踏まえた提案や、産業医との調整代行も行っています。
産業医の選任・紹介については問い合わせフォームから相談できます。
東京都の地域産業保健センターで探す
従業員50人未満の事業場に限りますが、東京都の地域産業保健センター(地さんぽ)を活用することで産業保健サービスを無料で受けられます。従業員50人未満の事業場では産業医の選任義務はありませんが、産業医に突発的な相談や対応を依頼したい事案が発生する場合もあります。
そのような場合は、東京都の地域産業保健センターに問い合わせてみるとよいでしょう。
東京都の地域産業保健センターは、東京中央地域、台東区地域、港地域、新宿地域、江戸川地域、八王子地域、町田地域など、東京都内に18箇所あります。
【参考】独立行政法人 労働者健康安全機構 東京産業保健総合支援センター「地域産業保健センター」
【関連記事】地域産業保健センター(地さんぽ)とは?役割や利用時の注意点を解説
東京都における産業医の報酬相場
産業医への報酬相場は、地域によって異なります。東京都中央区に本部がある公益社団法人日本橋医師会では、嘱託産業医報酬の目安を以下のように提示しています。【産業医基本報酬額】

専属産業医の報酬相場については以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
【関連記事】産業医の報酬相場と報酬以外にかかる費用 会計処理の注意点などを徹底解説
東京都の健康経営に対するインセンティブ
近年、経済産業省・厚生労働省は、企業に対し健康経営を推進しています。産業保健への注目の高まりを受けて、健康経営に取り組む企業に対してインセンティブを提供する自治体・金融機関などもあります。産業医の選任に加え、健康経営に取り組むことも検討するとよいでしょう。
下表は、東京都で受けられるインセンティブの種類です。
【制度名】「健康優良企業」認定制度
【提供元団体】東京都
【インセンティブの概要】 認定制度
【制度名】東京信用保証協会 健康DS保証
【提供元団体】東京都
【インセンティブの概要】融資優遇
【制度名】ワーク・ライフ・バランス推進企業認定制度
【提供元団体】豊島区・足立区
【インセンティブの概要】認定制度
【制度名】おおた健康経営事業所認定(総合評価落札方式(工事契約)の加点)
【提供元団体】大田区
【インセンティブの概要】入札関係
【制度名】総合評価競争入札等における加点
【提供元団体】豊島区
【インセンティブの概要】入札関係
【制度名】人材確保定着推進助成金
【提供元団体】江戸川区
【インセンティブの概要】補助金・割引
【制度名】健康優良企業サポートローン
【提供元団体】西武信用金庫
【インセンティブの概要】融資優遇
※出典:ACTION!健康経営「地域の取り組み」
申請要件などの詳しい情報については、提供元団体にお問い合わせください。
【関連記事】健康経営とは?企業が取り入れるメリットや取り組み方法・必要性を徹底解説
【まとめ】自社の課題を解決できる産業医を見つけよう
東京都は、卸売業や小売業、情報通信業の割合が多く、作業環境改善のためのアドバイスやメンタルヘルスケアができる産業医が必要とされています。また、規模が大きい事業所も多く、大企業の産業医は産業保健に携わる多くのスタッフと積極的にコミュニケーションをとり、うまく連携していくことも必要です。
東京都医師会では産業医を紹介していないため、東京都で産業医を探す場合は産業医紹介会社の利用がおすすめです。産業医紹介会社は、産業医の紹介だけでなく、企業の状況を踏まえた提案や産業医との調整代行などもしてくれます。
産業医紹介会社を利用して、自社の課題を解決できる産業医を見つけましょう。
【地域別】産業医の費用見積もり
\ 所要時間1分 /見積もりを出してみる
他県のページはこちら