店舗増加で増える産業医業務をどうする？ 160事業場の管理を実現した業務効率化とは

事業場増加に伴い増大する産業医業務

まずは、御社の事業内容についてお聞かせください。

荒川さん（以下、荒川）：当社は、「高品質・Everyday Low Price」を経営方針とし、関東を中心に160店以上のディスカウントスーパーマーケット等を展開しています。毎年、積極的に出店を続けていて、2024年には関西1号店もオープンしました。

店舗数が増加していく中で、産業医業務にはどのような課題を感じていらっしゃいましたか？

荒川：私たちがエムスリーキャリアに相談した当時は、全国で120店舗以上を展開しており、各店舗の産業医を個別に選任していました。当時は嘱託産業医の先生方と直接契約を結んでおり、その数は20名弱。1人の先生に10店舗ほど担当していただいていました。毎年10店近く増える店舗での選任については、契約中の先生や医師会からご紹介いただいてやりくりしている状況でした。

福岡さん（以下、福岡）：事業拡大のスピードが早く、店舗数がどんどん増えていく中で、産業医関連の業務が荒川一人に集中してしまっていました。特にコロナ禍の頃は、先生方のスケジュール調整や各店舗からの個別依頼への対応、請求業務など、あらゆる業務に手が回らなくなってしまったんです。

荒川：当時の先生方は、店舗数が増えても引き受けてくださいましたが、やはり物理的な限界があります。120店舗分の職場巡視や衛生委員会を管理しているため、先生方とのスケジュール調整だけで手一杯でした。成長企業ならではの課題だったと思います。このままでは個別契約を続ける限り、この状況は解消しないと感じていました。

業務が「劇的に効率化」

エムスリーキャリアに依頼した決め手は何でしたか？

荒川：当時、他社さんとも相見積もりを取っていましたが、エムスリーキャリアはとにかく多くの産業医にご依頼できる点が大きな魅力でした。また、これまでのノウハウを活かして、全店舗を一括でエムスリーキャリアのサービスに切り替えることができるという点も、決め手の一つでした。

福岡：運用方法が大きく変わるので、どうやって全店舗に浸透させていけばいいのか、という懸念もありました。個別契約の先生方との契約を終了し、新しい先生方に切り替えることも想定され、各店舗での情報共有をスムーズにできるかどうかも重要なポイントでした。

サービス導入後、どのような変化がありましたか？

荒川：一番大きな変化は、業務が劇的に効率化されたことです。全店舗の産業医業務を一括でお願いすることで、これまで私が一人で対応していた、個別契約の調整や連絡業務がほぼなくなりました。

福岡：全店舗の産業医業務を一括導入できたことで、コストも大幅に削減できたのは驚きでした。また、各店舗で職場巡視や衛生委員会が実施されているかをエムスリーキャリアが管理してくれるので、法令遵守の観点からも安心感が増しましたね。

初回訪問の担当者同行で、現場負担も軽減

導入後のサポート体制はいかがでしたか？

荒川：店舗数が多いため、初回の産業医訪問には、エムスリーキャリアの担当者が同行してくれました。総務部のメンバーも多くない中で、手厚いフォローは本当に助かりました。店舗の窓口となる店長や店長代行は、本業ではない産業医への対応業務に不慣れな部分もあります。丁寧な説明が必要な場面で、サポートに入っていただけたのはありがたかったです。

それから、担当者の初回同行があることで、産業医の先生と店舗での擦り合わせもスムーズにでき、現場でどんなことが実施されているかもわかりやすくなりました。以前は、産業医の先生が現場でどんなことをしてくださっているのか、なかなか見えにくいという状況もあったんです。その点でも、エムスリーキャリアに依頼して変化がありましたね。

当初の課題だった業務効率化はどの程度まで解決できましたか？

荒川：導入当初は、最低限のライン、つまりスケジュール調整がスムーズになるだけでもいいと思っていました。それが、今はそれ以上の効果を感じています。全店舗で共通の議題について先生方から指導をいただいたり、健康に関する資料を作成・配布したりと、ブラッシュアップした業務に時間を割けるようになりました。

他にも、ほぼ私一人で対応していた頃に比べると店舗での意識も変わってきたように感じます。以前は、リマインドメールを送っても「それって何のことですか？」という反応が返ってくることもあったんです。それが今は、「ああ、あれですね」とすぐに理解してくれるようになり、ほぼすべての店舗で期限内に対応してくれるようになりました。

継続的なレベルアップと現場への浸透

今後の課題や、取り組んでいきたいことはありますか？

荒川：店舗数が増え続け、店長や店長代行も入れ替わりが多いので、今の水準をいかに維持していくかが課題です。産業保健は、店舗では“本業”と見られにくい部分ですが従業員の安全と健康を守る大切な分野です。この産業保健の基礎レベルを維持していくことが重要だと感じています。

福岡：まさにそうです。新しい店長や代行が増えても、産業保健の基礎知識を継続的に保つ仕組みがあるといいですね。総務部が「これをやってください」と言うだけでは、なかなか現場は動いてくれません。自分でやらなければいけないというマインドセットを、現場にもっと育んでいきたいですね。