神奈川県(横浜)で産業医を探す方法とは?紹介サービスや選任する際のポイントを解説
神奈川県は横浜市という大都市を抱えていたり、日本三大工業地帯の一つである京浜工業地帯があったりすることから、さまざまな産業が盛んに活動しています。
産業医も多く活動しており、選任するだけであれば難しくはありません。しかし、自社の課題解決に適した産業医を選任するためには、ポイントを押さえて選ぶ必要があります。
本記事では、神奈川県で産業医を探す方法や、産業医を選任する際に考慮すべきポイントなどを解説します。
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神奈川県の産業医数と事業場数
神奈川県で活動する産業医の数は約1,500名で、全国約32,000名の約4.7%にあたり、全国4位の規模となります。なお、産業医数は2020年に日本医師会が公開した資料によるもので、同会認定産業医です。事業所数は全国で4番目に多い約28万件で、神奈川県内の事業所の約55%が横浜市と川崎市に集中しています。50人以上の事業所に絞っても全国4番目に多い約9,900件。産業医一人あたりの事業所数は6.6社で、全国トップクラスです。
そのため、自社に合った産業医を探そうとすると時間が要する可能性もあります。
【参考】
日本医師会「都道府県別 産業医活動における実態調査分析」
経済産業省「令和3年経済センサス」
神奈川県「かながわの医師の状況について」
神奈川県の主要産業において産業医が求められる背景
神奈川県の主要産業に焦点をあて、産業医が求められる背景について解説します。産業ごとにどのような産業医が必要なのか把握しておきましょう。製造業では50歳以上労働者の労災が多く、改善が求められている
神奈川県の主要産業である製造業では、50歳以上の労働者の労災が多く発生しており、改善が求められています。神奈川県労働局の調査によると、2023年に製造業で生じた労災による死傷者のうち、50歳以上の割合は48.5%との結果でした。
神奈川県の製造業では、中高年が起こしやすい事故や抱えやすい健康リスクの対応に詳しい産業医が求められます。
【参考】
厚生労働省「令和2年神奈川の賃金状況」
神奈川県労働局「令和6年 グラフで見る神奈川県下における労働災害と健康の現状」
厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和4年10月末現在)」
卸売・小売業では人手不足による労働環境の悪化が懸念されている
神奈川県では、人口の減少などを原因とした人手不足により、卸売・小売業における労働環境の悪化が懸念されている状況です。神奈川県の「年齢別人口統計調査結果報告」によると、2022年から2024年の3年連続で県内における15~64歳の生産年齢人口が減少しています。
その影響を受け県内で最も事業所数の多い卸売・小売業では、人手不足に陥っています。とくに、中小企業は給与や待遇面で大企業と差が生じており、より問題が深刻化している状況です。
人材不足からくる業務負担の増加や長時間労働により、従業員がストレスを抱える可能性があります。そのため、卸売・小売業では、メンタルヘルス対策に強い産業医が求められます。
【参考】神奈川県「年齢別人口統計調査結果報告」
医療・福祉業は従業員の業務負担が高く労働環境の改善が求められている
神奈川県の医療・福祉業では、従業員一人あたりの業務負担が大きいため、労働環境の改善が求められます。神奈川県は、人口10万人に対する医師数が全国42位、看護師数は45位、職員一人あたりにかかる業務負担が大きくなっています。
厚生労働省のデータによると、2022年時点における人口10万人あたりの医師数・看護師数は、以下のとおりです。
医師数・看護師数ともに、全国平均と比較すると2割程度少ない状況です。
また、神奈川県では看護職員の離職率が14.6%で全国平均(11.6%)を上回っていることも日本看護協会の調査で判明しています。
退職理由について、神奈川県が実施した調査では「本人の心身不良」(14.2%)が最も多く、新卒に絞ると44.3%にものぼっており、業界全体で労働環境が厳しいという背景も考えられるでしょう。
このような背景から医療・福祉業では、メンタルヘルス対策や面接指導など労働環境の改善が行える産業医が求められます。
【参考】
厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」
厚生労働省「衛生行政報告例(就業医療関係者)」
日本看護協会「2022年病院看護実態調査」
神奈川県「令和4年度 看護職員就業実態調査(病院)」
神奈川県で産業医を探す際に考慮したいポイント
神奈川県で産業医を探す際には、以下のような点を考慮しましょう。・エイジフレンドリーガイドラインの実施に協力的か
・外国人特有の健康課題に強いか
それぞれの内容について解説します。
エイジフレンドリーガイドラインの実施に協力的か
50歳以上の労働者が多い神奈川県では、エイジフレンドリーガイドラインの実施に協力的な産業医を選任するのもよいでしょう。エイジフレンドリーガイドラインとは、高齢労働者の安全・健康を確保するためのガイドラインです。
神奈川県が実施した「労働力調査結果報告」によると、神奈川県における労働力人口のうち、55歳以上が占める割合は28.4%です。45歳以上の労働者を含めると、その割合は53.6%にのぼり、多くの企業において将来的に高年齢労働者が増えると考えられます。
高齢労働者の増加に備え、エイジフレンドリーガイドラインの実践に協力的な産業医を選任し、専門家の立場からアドバイスをもらうことで、より効果的に対策を進められるでしょう。
【参考】
厚生労働省「エイジフレンドリーガイドライン」
神奈川県「労働力調査結果報告(2023年平均)」
【関連記事】【令和6年度】エイジフレンドリー補助金とは?要件や申請方法を解説
外国人特有の健康課題に強いか
神奈川県で産業医を探す際は、外国人特有の健康課題に詳しい産業医であるか考慮しましょう。神奈川県では、多くの外国人労働者が働いています。厚生労働省の調査によると、2022年時点における外国人労働者数は全国で4番目に多い105,973名です。また、日本全体において外国人労働者は増加傾向にあることから、神奈川県でも今後増えることが予想されます。
外国人労働者は、文化・生活の違いからストレスを抱えやすい傾向にあります。そのため、外国人特有の問題にスムーズに対応できるよう、外国語を話せる産業医や分かりやすい言葉で物事を伝えられる産業医を選任すると心強いでしょう。
【参考】
厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和4年10月末現在)」
厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」
産業医の選任により期待できるメリット
産業医の選任により期待できる主なメリットには、以下の2つが挙げられます。・従業員の満足度が向上し離職を防げる
・求職者の増加が期待できる
それぞれのメリットについて解説します。
従業員の満足度が向上し離職を防げる
産業医の選任は、従業員の離職防止につながります。従業員のストレスや悩みの要因となる職場環境などに対し、適切な対策を講じることで従業員満足度が向上するからです。神奈川県では、いくつかの産業において人材の供給が追いつかず、人手不足が生じている状況です。今後、人口減少や東京都への人口流出などにより、さらに人手不足が深刻化する可能性があるため、従業員の確保は非常に重要といえるでしょう。
求職者の増加が期待できる
産業医を選任し、従業員の健康の維持・増進に努めていることをアピールすれば、求職者の増加が期待できます。なぜなら、求職者は安全かつ健康的に働ける環境を求める傾向にあるためです。実際、健康経営優良法人認定事務局が行った調査では「働く環境に何を望むか」の問いに対し、全体の54.6%の求職者が「心身の健康を保てる環境」と回答しています。
取り組みの内容や実績をSNSなどでアピールすることで、周囲から「従業員の健康に配慮している企業」と認識され、求職者の増加につながるでしょう。
【参考】健康経営優良法人認定事務局「就活生・転職者に関する調査」
【関連記事】健康経営が人材採用にもたらす効果は?具体的な取り組みや事例も紹介
神奈川県での産業医の探し方
神奈川県での産業医の探し方には、以下などが挙げられます。・産業医紹介会社で探す
・地区医師会で探す
・神奈川県の地域産業保健センターで探す
それぞれの探し方について解説します。
【関連記事】〈2024年版〉産業医を探す主な5つの方法まとめ
産業医紹介会社で探す(エムスリーキャリア)
神奈川県で産業医紹介会社を探している場合は、エムスリーキャリアがおすすめです。嘱託産業医であれば、月額3万円から依頼できます。親会社のエムスリーは東証プライム上場企業で、運営している医療従事者向けサイト「m3.com」には医師の約9割が会員登録しています。
こうした会員基盤があるため、神奈川県横浜市や川崎市、相模原市、厚木市、南足柄市など神奈川県内での紹介実績も豊富です。
また、単なる紹介だけでなく、その企業の状況をふまえた提案、産業医との調整代行を行い、顧客企業へのサポート体制も整っています。
産業医の選任・紹介については、問い合わせフォームから相談可能です。
地区医師会で探す
事業所のある地区の医師会に相談すれば、産業医を紹介してもらえる場合があります。医師会に頼むメリットは、無料であることです。デメリットとしては、どんな産業医が合うかアドバイスを受けたり、職務内容や報酬などの交渉を頼んだりすることが難しい点です。
また、地区をまたがって事業場がいくつかある場合は、それぞれの地区で探す必要があるかもしれません。
各市町村の医師会の連絡先は、神奈川県医師会が一覧を公開しているので、参考にしてください。
神奈川県の地域産業保健センターで探す
従業員50人未満の事業場に限りますが、神奈川県の地域産業保健センター(地さんぽ)を活用することで産業保健サービスを無料で受けられます。従業員数50人未満の事業場は、産業医を選任する義務はありません。しかし、産業医の選任義務がなくとも、産業医に突発的な相談・対応を依頼するなどの必要性が生じる場合もあるでしょう。そのようなときに、問い合わせてみることをおすすめします。
神奈川県の地域産業保健センターは、横浜北地域、横浜南地域、横浜西地域、川崎北地域、川崎南地域、湘南地域、相模原地域など、神奈川県内に12箇所あります。
【参考】独立行政法人 労働者健康安全機構 神奈川産業保健総合支援センター「地域産業保健センター」
【関連記事】地域産業保健センター(地さんぽ)とは?役割や利用時の注意点を解説
神奈川県の健康経営に対するインセンティブ
近年、産業保健への注目が高まっており、経済産業省・厚生労働省は健康経営を積極的に推進しています。こうした機運の高まりを受けて、健康経営に取り組む企業に対してインセンティブを提供する自治体・金融機関なども出てきています。産業医の選任に加え、健康経営に取り組むことも検討するとよいでしょう。
神奈川県で受けられるインセンティブには、以下などがあります。
CHO構想推進事業所登録事業
提供元団体:神奈川県制度の概要:
・CHO(健康管理最高責任者)を設置して健康経営に取り組む企業や団体を「CHO構想推進事業所」として登録する事業
・登録によりイメージアップに活用できる登録証やステッカー、イメージロゴが利用できる
・県よりCHO構想や健康増進にかかわる情報提供を受けられる
SDGsよこはま資金
提供元団体:横浜市制度の概要:
・横浜市において人材確保や就労環境の向上などに取り組む企業が受けられる融資制度
・デジタル設備を導入する企業、横浜市からSDGsにかかわる認証を受けた企業なども利用できる
健康企業奨励金
提供元団体:大和市制度の概要:
・大和市内で継続して3年以上営業している企業のうち、国の健康経営優良法人認定制度の認定を受けた企業に与えられる奨励金
・対象は製造業、情報通信業、自然科学研究所の3業種
・支給金額は100万円
最新の情報については提供元団体にお問い合わせください。
神奈川特有の問題を考慮して産業医を選任しよう
神奈川県は、人口減少を理由とした人手不足によって、小売業をはじめいくつかの産業で労働環境の悪化が懸念されています。そのため、メンタルヘルス対策に強い産業医が求められます。また、外国人労働者も多く働いているので、外国人とのコミュニケーションが得意な産業医を選任すれば心強いでしょう。
神奈川県で産業医を探す際は、産業医紹介サービスの利用がおすすめです。自社が抱える課題の解決に適した産業医の紹介はもちろんのこと、契約にかかわる調整なども代行してくれます。
自社の課題解決だけでなく、神奈川県特有の課題を考慮して産業医を選任しましょう。
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