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日々業務をこなし、順調な経営に貢献してくれる従業員は、企業にとってまさに宝ともいうべき存在。
経営者の皆さんは、そんな従業員の「健康」にもしっかり気を配っているでしょうか?生産性向上のためには、企業として従業員の「ヘルスリテラシー」を高めることも大切なポイントなのです。
今回は、健康への意識を高めるヘルスリテラシーの基礎知識や、企業が得られるメリットをはじめ、健康経営との関連性などについて解説します。
現代日本では、急速に進む高齢化や、食の欧米化による生活習慣病の増加など、健康面におけるさまざまな問題が浮上しています。これらを解決するためには、国民ひとりひとりの健康状態を改善することが必要です。
そこで、政府は積極的な健康づくりを推進しようと、2000年に「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を制定しました。この施策の裏付けのため、2003年に制定された法律が「健康増進法」です。
健康日本21には、生活習慣病の予防に役立つさまざまな項目が盛り込まれています。私たち国民が健康を心がけることは、もはや債務とされているのです。
従業員自身はもちろん、企業にとっても従業員の心身の健康は欠かせません。
企業の順調な経営は、従業員が日々健康に働き、円滑に業務を進めることで可能になるものです。健康に問題のある従業員が増えれば業務が滞り、経営にダメージを与える可能性もあるでしょう。
このような事態を防ぎ、健康経営を実現するために重要な役割を果たすのが「ヘルスリテラシー」です。
従業員、ひいては企業のために、経営者は率先して健康増進の重要性を理解し、ヘルスリテラシーについて正しい知識を持つようにしましょう。
ヘルスリテラシーは、企業が健康経営を目指すうえで非常に重要な役割を果たすものです。
そもそもヘルスリテラシーとは何なのかをふまえ、健康経営との関連性について見ていきましょう。
ヘルスリテラシーとは、健康増進に関する情報を集め、内容を分析・活用するための「能力」のことです。
インターネットや書籍などにあふれる情報のうち、自分にとって必要なものを選別し、それが信頼できる情報かどうかを判断します。
情報が信頼できるものだった場合、実際に利用するというのがヘルスリテラシーの基本的なプロセスです。
なお、ヘルスリテラシーは内容によって3つの段階に分かれています。
1つ目は「機能的ヘルスリテラシー」と呼ばれるもので、健康に関する情報を受動的に得たうえで理解する基礎的な能力です。
2つ目は「相互作用的ヘルスリテラシー」で、周囲とのコミュニケーションから得た情報にもとづき、周囲からサポートを受けつつ能動的に活用する能力を指します。
3つ目の「批判的ヘルスリテラシー」は、情報を批判的に分析し、自己の能力にもとづいて置かれた状況を改善するために行動する(=組織を変える)高度な能力のことです。
ヘルスリテラシーの段階が低いと、そもそも自分に役立つ情報を見つけられない、見つけたとしても正しい情報かどうか判断できない、活用できないなどの問題が起こり得ます。
その結果、心身の状態に不安があっても適切なケアや治療ができず、深刻な病を招くという事態にもなりかねません。
従業員が健康状態を良好に保って働くためには、健康について正しい情報を活用するヘルスリテラシーが必要不可欠なのです。
従業員が健康に働けるよう企業が配慮することで、企業にとっても経営上の利点が見込めます。
このため、戦略的に従業員の健康づくりを推進・管理する「健康経営」の実現を目指す企業も少なくありません。
従業員が健康を損なって十分に働けなくなれば、労働力が失われるだけでなく、代わりの人材を採用するための時間やコストも必要です。業務分担や新人教育などで周囲の従業員に負担がかかり、連鎖的に健康を損なって生産性が低下してしまう恐れもあるでしょう。
特に、現代日本ではメンタルヘルスに不安を抱える従業員が増えているため注意が必要です。
厚生労働省が2018年に行った労働安全衛生調査によると、仕事に関して強いストレスを感じていると答えた労働者の割合は58.0%にも上りました。ストレスは健康面に悪影響を及ぼす可能性があるため、半数以上の従業員が高ストレス状態にあるという事実は楽観視できません。
実際にメンタルヘルスの不調で1カ月以上休業した労働者がいた企業は6.7%、退職者がいた企業は5.8%という結果も出ています。
ほかの病気やケガで働けなくなった従業員も含めれば、いかに多くの労働力が健康問題により失われているかがわかるでしょう。このような背景もあり、健康経営の実現を急務とする企業が増えているのです。
心身の健康状態をできるだけ健全に保つには、従業員自身が自ら健康に気を配ることが欠かせません。
ただ、従業員の中には自分の健康状態に危機感を持たなかったり、健康に良いことがわからなかったりする人もいるでしょう。これでは、満足な健康経営を実現するのは難しいです。
健康経営への土台をつくるには、まず従業員に健康への意識を高めてもらわなければなりません。
ここで役立つのが、企業によるヘルスリテラシーの指導です。
積極的な指導により従業員のヘルスリテラシーを高められれば、個々の健康状態も改善しやすくなり、健康経営に近づくでしょう。
このように、ヘルスリテラシーは健康経営にとってなくてはならないプロセスになっているのです。
従業員のヘルスリテラシーを高めるといっても、どのように実践すれば良いのかわからない人も多いでしょう。次は、ヘルスリテラシーの向上に役立つ具体的な方法を紹介します。
ヘルスリテラシーの向上を目指すには、まず従業員がどの程度ヘルスリテラシーを持っているのか調べる必要があります。調べ方はいくつかありますが、主に労働者のヘルスリテラシーチェックに利用されているのは「伝達的・批判的ヘルスリテラシー尺度」と呼ばれるものです。
このチェック方法では、「膨大な情報の中から自分に必要な情報を選ぶことができる」「情報の信頼性を判断できる」など5つの質問が設定されています。「強く思う」から「まったく思わない」までの5段階の回答から当てはまるものを選び、尺度得点を計算してヘルスリテラシーを確認するというものです。
この結果を見れば、従業員のうちヘルスリテラシーが低い者を選んで研修をするなど、必要に応じた効率的な指導ができるようになります。
ヘルスリテラシーを高めるには、全社的に健康増進に向けた積極的な施策を行うのも効果的です。
たとえば、部署ごとに健康増進担当者を置いたり、ホームページに健康増進への取り組みを明記し、社内外へアピールしたりするなどの方法があります。
新たな休暇制度を設ける、ノー残業デーを設定する、メンタルヘルスの改善に効果的なストレスチェックを実施するなど、労働環境の改善に努めるのも良いでしょう。
このほか、社員食堂に健康に配慮したメニューを用意する、健康問題を相談できる窓口を開設するなど、施策の内容はさまざまです。企業ごとに導入可能な施策や効果が現れやすい施策は異なるので、従業員の意見も聞きつつ社内でじっくり検討してみましょう。
ほかの施策例を見たい場合は、経済産業省が発行している「健康経営ハンドブック」を確認してみてください。ヘルスリテラシーを高め、健康経営に役立つための情報が豊富に載っているので非常に役立ちます。
ヘルスリテラシーを向上させ、健康経営を実現させると企業にはさまざまなメリットが期待できます。
まず、従業員が毎日を生き生きと働けることで、仕事のパフォーマンスを向上させることが可能です。
心身に不調を抱えたままでは、集中力やモチベーションが低下し、十分な成果を出すのは難しいでしょう。
従業員の健康状態を良好に保つことは、企業全体の生産性を高めるうえでも重要な要素となるのです。
また、より広い視野で考えれば、医療費・社会保険料の削減というメリットもあります。
企業に勤め、健康保険組合に加入している従業員の場合、病院を受診したときの医療費は3割負担が一般的です。
残りの7割を健康保険組合が負担しているため、従業員が健康を損なって病院へ行けば行くほど、健康保険組合の負担が増えてしまいます。その結果、負担増をカバーするために社会保険料の値上げが必要になれば、値上げ分は企業と従業員が半分ずつ支払わなければなりません。
健康を損なうと、このように社会的な医療費の増加だけでなく、巡り巡って企業や従業員の経済的な負担増にもつながるのです。
この点、ヘルスリテラシーの向上により健康を維持していれば、病院を受診する頻度も減り、医療費増加や保険料の値上げの防止に役立つことができます。社会貢献の意味合いもあるので、そのメリットはさらに意義のあるものになるでしょう。
さらに、従業員の健康増進に積極的な企業であると社内外にアピールできることで、企業のイメージアップにつながる点も魅力です。生き生きと働く従業員が多いことでホワイト企業のイメージが高まれば、人材も集まりやすくなり、将来的な企業の成長にも役立つでしょう。
ヘルスリテラシーは従業員個人の問題だけではなく、企業の健康経営を実現するためにも重要なものです。
従業員の健康を維持できれば、企業の生産性向上やイメージアップなど将来的な成長も期待できます。
労働環境の改善など福利厚生に役立つものでもあるので、企業と従業員双方のためにも積極的に導入していきましょう。
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