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産業医の選任は、50人以上の従業員がいる事業場では必須です。
また、それ以下の事業場でも、産業医を選任することにはメリットがあります。
ここでは、産業医を雇うメリットデメリットについて解説していきます。
産業医は臨床医とは異なり、特定の事業場において、そこで働く従業員の健康と安全を守ることを目的として働く医師のことです。2023年4月現在、医師の約10%が産業医として働いています。
産業医の業務内容として、健康診断の実施およびその結果に基づいた措置の提案、作業環境の確認と維持と管理、衛生面の教育などが挙げられます。また、長時間労働者と面談し、その結果に応じた措置を講じることなども産業医の仕事です。
加えて、労働者の健康が害されたと判断された場合、その原因を調査したり、再発を防いだりする仕事も担います。
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産業医には、「専属産業医」、「嘱託産業医」と呼ばれるものがあります。
初めに記しておきますが、この2つの業務上の役割はほとんど同じです。どちらも、その事業場に勤める人の健康などを守ることを生業とします。ただし、働き方が異なります。
専属産業医とは、文字通り、基本的には特定の1社だけを受け持つ産業医を示す言葉です。詳細は後述しますが、従業員1000人以上(一部の事業場の場合は500人以上)の事業場の場合は、専属産業医を置かなければならないと定められています。
もっとも、「専属の」産業医であっても、1社以外を受け持つと法律違反となるといった縛りはありません。たとえば、専属産業医を務める事業場のすぐ側に兼務する事業場がある場合などは、2つ以上の事業場を兼任することが認められています。
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対して、嘱託産業医の場合は、専属産業医とは異なり、複数の事業所を受け持つことができます。なお従業員1000人未満の事業場の場合は、専属産業医を置く必要はなく、嘱託産業医を置く対応となります。
複数の事業場を受け持つことができるとはされているものの、3か所以上の事業場を受け持っている嘱託産業医は決して多くはありません。多くの嘱託産業医は、自らが受け持つ事業場を1~2か所程度にとどめています。
専業産業医はもちろん、嘱託産業医でも1~2社しか受け持っていないことが多いという現状においては、産業医を探すことはなかなか難しいといえるでしょう。そのため、専門家の力を借りて探すことが推奨されます。
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出典:厚生労働省「医師会が関わる産業保健の現状」
厚生労働省「中小企業事業者の為に産業医ができること」
上記では、「選任すべき産業医が、専属産業医となるのか嘱託産業医になるのかは、従業員数によって異なる」としました。
なお、このときの基準となる「従業員(数)」という言葉は広く使用されている言葉ですが、厳密には、雇用契約書や労働契約書によって、使用者(事業者)と契約を取り交わしたうえで働く人のことを指します。従業員の働き方自体は問わず、正社員はもちろん、契約社員やパート・アルバイトも従業員に含まれます。ただし、役員や業務委託先はこれに含まれません(出向労働者は従業員に含まれます)。
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従業員、従業員数の定義を解説したところで、それに対応した産業医の置き方について解説していきます。
まず、事業場の従業員数が50人以上である場合は、産業医を置くことが義務付けられます。ただし事業場の従業員数が50人~999人以下であるならば、専業産業医ではなく嘱託産業医で構いません。
事業場の従業員数が1000人~2999人までの場合は、専業産業医を1人以上置くことが求められます。
さらに、事業場の従業員数が3000人を超えた場合は、専属産業医を2人以上置く必要があります。
なお、有害物質を扱う事業場の場合は、事業場の従業員数が500人を超えた時点で専属産業医の選任が必要になります。
また、「従業員50人以上で産業医を置くことが義務付けられる」としましたが、49人以下の事業場でも産業医を置くことは当然認められています。
事業場の従業員数 | 専属か嘱託か | 医師の人数 |
49人以下 | 産業医選任の義務なし | 左記に同じ |
50人~999人 | 嘱託でもよい | 1人以上 |
1000人~2999人 | 専属 | 1人以上 |
3000人以上 | 専属 | 2人以上 |
有害物質を扱う事業場で500人以上 | 専属 | 1人以上 |
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50人以上の従業員を抱える事業場は、産業医を置くことが義務付けられています。しかし、義務だから選任すると考えるのではなく、選任することのメリットを知ってよりよく活用していくことを考えた方が無駄がありません。
また、産業医を選任しなければならないのは従業員50人以上の事業場に限られますが、49人以下のところでも産業医を置くことにはメリットがあります。
産業医を置くことのメリットは、以下の通りです。
次にそれぞれ解説していきます。
産業医の職務は、そこで働く人の安全や健康を守ることです。従業員にけがや病気が生じた場合だけでなく、けがや病気をしないための予防策を講じることが可能です。あらゆるけがや病気は、患う前に予防し、患った後は迅速に対応することで悪化を防げたり、早く改善できたりします。
このことは、従業員自身だけでなく、企業にとっても非常に有益であるといえます。
従業員がけがや病気になってしまった場合、欠員が生じるため、自ずと生産性がダウンします。周囲の人が欠員者の業務をカバーするために無理をした場合、無理をした従業員が体調不良になる可能性もあるためです。
産業医には、以下のような働きが求められます。
企業が法令義務を果たすためには、産業医の存在が必要です。
なお、事業者(使用者)は産業医による勧告を受けた場合はそれを尊重しなければなりません。また、産業医が勧告を行ったことを理由に産業医に不利益なことをしてはならないと定められています。
産業医は、専門的な立場から従業員や事業者(使用者)に対して、安全や健康面での指導や助言を行うことができます。
多くの人は不調を感じた時点で病院の門を叩きますが、既にその時点で状態が悪化していくこともよくあります。
産業医は、健康診断やストレスチェックの結果、職場巡視などを通じて従業員の状態を把握し、体調やメンタルヘルス不調の兆候が見られる場合、指導や助言を行います。
これによって労働者の健康が維持・向上できるだけでなく、企業側も従業員の休職や退職、労働災害を未然に防ぐことにつながります。
「健康経営」とは、
を指す言葉です。
健康経営の実践により、従業員のやる気や生産性も向上します。そのため、健康経営に取り組むことは、事業者(使用者側)にとっても非常に有意義なことです。この健康経営の第一歩として、産業医の選任があります。
上でも述べたように、産業医の選任は、けがや病気から従業員を守り、生産性の低下を防ぐことにも役立ちます。万一、何か起きた時に産業医の専門的な立場から指導や助言がもらえるため、安心して働ける職場環境作りにもつながります。
このような「自分が所属する企業への信頼感と安心感」は、従業員一人ひとりのモチベーションを高めます。モチベーションの高い従業員は離職率も低く、結果的に習熟度が高い従業員が残りやすくなるため、結果として生産性の安定や向上が見込めるようになります。
産業医を選任するメリットがある一方で、デメリットもあります。
当然のことですが、産業医を雇用するためには費用がかかります。
公益社団法人日本橋医師会が出したデータによれば、産業医の基本報酬は従業員50人の場合でも75,000円~、600人を超える場合は250,000円~とされています。産業医との契約内容にもよりますが、ストレスチェックや健康診断の実施の費用が上乗せされることもあります。
実際に1人の専属産業医を雇ったときの年俸は、下記が目安となります。
勤務日数 | 年俸 |
週1日 | 300万~400万円 |
週2日 | 600万~800万円 |
週3日 | 900万~1200万円 |
週4日 | 1200万~1500万円 |
週5日 | 1500万~2000万円 |
※年俸 =(300万~400万円) × (週あたりの勤務日数)の計算式から算出
出典:公益社団法人日本橋医師会「産業医報酬の基準額について」
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産業医と事業場には、相性があります。
たとえば、相性の悪い例として、経営者の理念と産業医の考え方がマッチしない、産業医自身が事業場の仕事や特性についての知識が浅い、産業医の対応が雑で従業員からの評判が著しく悪いなどケースが考えられます。このような相性の悪い産業医を選んでしまった場合、せっかく産業医を選任しても、思うように産業保健活動が推進できないこともあります。
そのため、産業医選任においては、明確な判断基準を設けてチェックしていく必要があります。
【関連記事】自分の会社にマッチした産業医を探す4つのルート
産業医選任のメリットを最大限に生かすために、産業医選任にあたり確認しておきたいポイントについて解説していきます。
上でも述べたように、自社に合う産業医、合わない産業医がいます。そのため、産業医選任にあたっては、下記のことを意識しましょう。
産業医を選ぶ際には、まずは自社が産業医に何を求めているかのニーズを整理することから始めましょう。その上で、産業医のスキル、人柄をチェックすることをおすすめします。
また、自社の業務内容に専門的な知識がある産業医がいれば、そこも併せて確認しておきましょう。たとえば、工場現場で働く従業員をみてもらう場合、業務で扱う素材が人体に及ぼす影響について詳しい産業医だと安心して任せることができます。
産業医は、企業の窓口となる人事労務はもちろん、従業員とコミュニケーションをとる機会が多くあります。円滑に業務対応をしていただくためにも、コミュニケーション能力に長けた産業医だと望ましいといえます。
また、企業によって抱える課題、改善点が異なるため、経験豊富であることが求められます。
産業医と企業は契約を結び、その契約に基づいて業務依頼をします。そのため、契約形態や条件面でのミスマッチが起きていないかをよく確認しましょう。
前述の通り、産業医に支払う報酬は決して安いものではありません。
そのため、支払う金額が自社の予算に収まるかどうかを念頭に置き、産業医と条件交渉をする必要があります。
【関連記事】産業医の探し方 産業医紹介4つの相談先と選び方のポイント
従業員50人以上の事業場には、産業医の選任義務があります。従業員50人以下の事業場には産業医の選任義務はありませんが、従業員の安全と健康を管理するためにも、産業医を選任するメリットは大いにあります。
しかし、産業医探しはもちろん、産業医と直接条件交渉をするのは企業に負担がかかる対応です。産業医紹介会社に依頼することで、自社のニーズに合う産業医探し、費用面などの条件交渉、産業医選任後の事務連絡などを代行してもらえるケースもあります。自社にマッチする産業医を選任するためにも、産業医紹介会社を活用することを検討することをおすすめします。
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